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ある公爵夫人の生涯のpikaのレビュー・感想・評価

ある公爵夫人の生涯(2008年製作の映画)
3.5
先が気になってワクワクソワソワイライラドキドキするくらいには楽しめたが良かったのはそこだけでドラマを物語るためにしか全てが存在しておらず印象に残るものがない。スキャンダラスな部分にフォーカスを当てたせいで映画にしやすくなった分、史実を映画化した必要性が薄まった感ある。史実を知らずに見たのでかなりハラハラしたけど既知の観客が多いだろうに知って見ていても楽しめるのだろうか。女性が参政権を得る100年以上前から政治に意識を向け、ファッションアイコンとしても人気が高かったっつー特異な面は要素程度に収まりチラリと出る程度でメインはメロドラマである。その方がウケがいいとでも言うのか、安易にまとめたように見えてしまった。人物の生涯としては劇的だろう苦悩も映画として見せるにはありふれて見える。あちこち手を出さず愛の苦悩一本で勝負した気概は成功しているとは言える。
事実をシーンで割って理解しやすく提示して並べているだけという様がまさに『ある公爵夫人の生涯』という風体なので忠実に演出した意図なのだろうか。人は映画を見て他人の人生や感情を疑似体験したり娯楽を楽しんだり新たな知識や価値観を知り心を刺激されるものだと思うが、他人の人生を眺めただけという風体はさながら他人事を又聞きしただけという印象にしかならなかった。
役者も揃えているのに悪くはなくとも秀でて良くもない無難な存在感で、要素を拾えば面白いのにめちゃくちゃ物足りなかった。
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