Yurari

神々の深き欲望のYurariのレビュー・感想・評価

神々の深き欲望(1968年製作の映画)
4.0
すごい映画を観てしまった。
映画、というジャンルを飛び越え、もっと根源的な何かを見せられた気がする。
ちなみにアリ・アスター監督のミッドサマーはこの映画を参考にしている。

近親相姦がそこまでタブー視されていない世界が描かれる。ふと、日本の神話のイザナギとイザナミは兄妹だったなと思い、複雑な気分になる。現代社会において近親相姦はタブーだが、(神話の世界を信じる前提で)我々の元を辿ると、近親相姦による世界の出現がある・・。

トリ子という巫女が印象的。彼女は知的障害者だが、ある種無垢な存在として描かれる。村の者から悪戯はされるものの、邪険に扱われる事はない。そして神からの信託により、巫女の長を務めるようになる。神がかりシーンは圧巻。
巫女というより、トリックスター、という印象を受けた。爬虫類とやたらに仲が良いし。

仮面をつけた男たちが船を漕いで逃げた二人を追うシーンも印象的だった。お面をかぶることによって、人を殺すという罪が薄まる感じがする。どのお面も非常にプリミティブで表情に乏しく、しかし少し嬉しそうな雰囲気でかなり不気味だ。ちょっとしたお祭り気分?というか。
アリ・アスター監督は、この辺りを参考にしたのだろうか?ミッドサマーでは匿名性はなかったが、集団行動の恐ろしさは描かれていたように思う。

一瞬頭が空っぽになったのがコカコーラのシーン。休憩前とラストで、コカコーラが効果的に使われている。映画でこの手の宣伝風の映像が流れると萎えるのだが、この映画ではそんな事はなかった。現代社会が島に流れ込んできたなと、空っぽな頭で思った。

時間を置いて、もう一度観る。
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