イチロヲ

青春群像のイチロヲのレビュー・感想・評価

青春群像(1953年製作の映画)
3.5
定職に就かず放浪生活を続けている青年グループが、惰性で結婚したプレイボーイの仲間を人間観察していく。自立できない青年たちの一蓮托生を描いている、ヒューマン・ドラマ。

ボンクラニート6人組の生態を散文詩的に描写するという、純然たるフェリーニ流映画術。令嬢と結婚した青年のシークエンスを主軸にしながら、殻を破れない人間たちの痛々しい人生模様が繰り広げられていく。

男は何歳になっても学生時代の延長線上を大事にする。社会に進出して、家庭を築いても、男同士の遊戯に飛び込んでしまう。そのスパイラルに身を預けるか、それとも脱出を試みるか、二者択一を迫られたときに人生観の再確認がおこなわれる。

物語内容は「目前の幸せを掴み取れない男」の典型例。主人公がアスペルガー症候群を疑うレベルの放蕩者であり、仲間たちが「あっ、こいつヤベェ!」と気づきながらも、「あっ、おれたちも同類だった!」へと落ちていくところが、大きな醍醐味になっている。
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