ひこくろ

はっこうのひこくろのレビュー・感想・評価

はっこう(2005年製作の映画)
4.2
こういうスタンスで作られる自主制作映画もあるんだあ、と驚いた。
朗読のようなナレーションから入る静かな出だしに、淡々とした日常の光景が丁寧に綴られていく。
役者さんたちの演技もみな上手く、自主制作ながらも、しっかりと地に足が着いている感じがする。

それでいて、独特で挑戦的な試みも忘れていない。
唐突に奏でられるラテンのギターBGMや、ダンスのように主人公がおかしくなっていくシーンなんかは、この映画ならではのオリジナリティと言えるだろう。
時折、挟まれる「物が腐っていく」描写も、強烈に印象に残る。

静かに追い込まれていく主婦の狂気を、しっかりとした実力で描き切ったという感じがした。
個性とか、感性とかが重視されやすい自主制作の世界の中で、異彩を放つ作品だと思う。
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