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延安の娘のmhのレビュー・感想・評価

延安の娘(2002年製作の映画)
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話には聞くけど具体的になにが行われたのかほとんど知らない文化大革命を、下放(上山下郷運動)という政策のその後の追うことで描写した骨太ドキュメンタリー。

農村支援の名目のもとに約1600万の中学卒業生が農村や辺境に追放され徴農される下放政策が行われた。(Wikipediaより)

盛り上がりすぎた近衛兵運動に水をかけるため、運動の主力だった中学生たちを農村に追いやるとかとすげーことやってんな毛沢東。
北京幹部をはじめとした「北京」というワードに、なにか特別な感傷がこびりついているのは気のせいじゃないはず。地方のひとたちにとっての「東京」以上のなにかがあった。
2003年の時点での中国の辺境(延安)の様子がすごかった。丘陵地に見渡す限りの畑。舗装されてないので砂埃がすさまじい。
街灯はなくて、軒先に裸電球があり、その向こうの窓に、彩度の低い暮らしぶりが垣間見れた。
下放政策に青春を食い取られたひとたちの暮らしぶりもすごい。おれは音楽が好きなんだと、チープなテレビからDVDで変な音楽流している。壁にはヌードポスターが貼られている。かつてのインテリ層が落ちぶれてしまった姿が生々しい。
頼み事するおっさんがたばこ吸ってるし、頼まれごとを断ってるおっさんもたばこ吸ってた。たばこって間が持たないことを強調するような小道具だな。なんてことない場面だけど、なんか懐かしくて良かった。
あきらかに左に偏ったドキュメンタリー「蟻の兵隊」と同じ監督さんとは思えない良質なドキュメンタリーだった。
面白かった。
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