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コーヒー&シガレッツのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

お姉さん「お化けが出たら誰を呼ぶぅ?」
キッズ1「パパァ〜」
キッズ2「ママァ〜」
キッズ3「警察ぅ〜」
お姉さん「そんなときは…」
キッズ4「消防車っ!!」
お姉さん「ダメだこりゃ😅…そんなときは、ゴーストバスターズ!」

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黒と白の市松模様。
アチアチのコーヒー。
タバコ。
男が言う。
「タバコとコーヒーの組み合わせは最高だ。」
喫茶店にてこの最高の組み合わせを前に、最高の組み合わせの人達があーでもないこーでもないと話を繰り広げる。。。


コーヒーが飲みたくなって仕方ない作品。タバコは「イヤ、別にイイッス」という感じだった。臭いんですもの、タバコ。服に臭いつくし。
 近頃、スタバ、ドトール、タリーズあたりにもとんと行かなくなってしまった自分であるが、喫茶店というのはひょっとすると良いもんなのだなぁと見ていてポカンとした☕

オムニバス形式?というのかかなりの数のショートストーリーで構成されるガーエー。ある時は喫茶店、またある時はレストランみたいな喫茶店、またある時はホテルのロビーみたいな喫茶店、といった具合に登場人物2人の会話(たまに3人)をタバコとコーヒー片手に繰り広げるものばかり。
野次馬「要するに、喫茶店で他人の話を盗み聴きしてるみたいなもんなんでしょ?そんな映画、面白いの?」
と疑問を持つ人もいるかも知れないけれど、これがなかなか面白かった。
 どの話もリラックスした気分で見れる穏やかさが良かった。クスッと笑ってしまうやうなものが大半なのだけれど、中には会話の詳細が不明でこちらがひたすら想像力を働かせるやうな話もあれば(他人の話の盗み聴きなのだから仕方ない)、ピリリと辛い人生の一面を垣間見せられたり、ラストには不思議と厳かな気持ちにさせられ、見ていて飽きなかった。

ナイト・オン・ザ・プラネットではタクシー。本作では喫茶店。我々一般人にも馴染みのあるささやかなものを映画の魔法でジャームッシュ監督は、特別なものにしてくれる。
 この映画見終えた後、喫茶店に行って、お喋りしている他人を見たら温かい気持ちになるやうな気がする。みんな色々あって、色々事情がある。

ナイト・オン・ザ・プラネットの時も今思うとさうだったのだなぁと思ったけれど、人間の一対一での会話がベースになっている。これは人間のコミュニケーションの最小単位のやうに思う。人間のコミュニケーションの基本とでも言いませうか。思考は一人でもできるけれど、思考の交換は一人ではできない。そして、思考は人によって千差万別である。
 他人の歯医者の予約を有難がる人間がいれば、禁煙のおかげでタバコが旨く吸えるとのたまう者もいる。セレブの親戚に複雑な感情を抱く人もいるし、僕と君は実は親戚なんだよ!と言ってきた変人が実は太いパイプの持ち主だったりする。
 端から見ているだけでは想像もつかないことばかり起こる。けれど、どれもささやかな感じで見ていて心地よい。派手などんでん返しではなく、ささやかなとんてん返し、という感じ。


出演者が有名な大物ばかりぽかった。ビル・マーレイがトンチキな役で出ていてオカシイ(ゴーストバスターズ!)。
 序盤の方で、我々ジャップのことをツリ目で表現するシーンがあり、自分の心の中の奥崎謙三が「田中ジャームッシュ角栄を○す」と街宣車で怒りを爆発させていた。
 「ルネ」というストーリーでは美女が一人、拳銃の雑誌を見ながら、コーヒーとタバコをやるのだけれど、この美女がシャレにならないくらいの緊急事態宣言ステージ5美女で、劇中の店員じゃないけど、自分も光の速さで彼女の魅力に骨抜きどころか全身複雑骨折にされてしまった。
クール、美貌、チャーミング、知性、妖艶、母性etc、と女性性の魅力すべてをオール5で兼ね備えた完全無欠のヴィーナス。我々の心の病床は医療崩壊。デルタ株級の危険なフォーリンラブ。避けられない禁断の空気感染。叶わぬ想いはロックダウン。
家に帰って光の速さで調べたところ、この美女はルネ・フレンチという人で出演作品は本作のみとのこと。というか女優さんじゃないらしく詳細不明で、ミステリアスなヴェールに包まれている。正直、オードリー・ヘプバーン、グレース・ケリー、マリリン・モンロー、イングリッド・バーグマン、ここいらへんの横綱級に引けを取らないと言っても過言ではないくらいのとてつもないラムダ株美女と思った。彼女が髪を上げる仕草を見た時、自分は息をするのを忘れ、酸素飽和度が瞬間的に70%にまで低下し、死んでしまった。
しかし、自分にはカボチャがある🎃
 そして、イギー・ポップカッコ良かったし、革ジャン最高に似合っていた。


コーヒーの黒と紫煙の白。喫茶店で織り成す市松模様は、混じり合う時もあれば、台無しになるときもある。黒と白がハッキリ別れているところから人生はスタートする。
茶色になるか灰色になるか何色になるのかは各人のお楽しみでせう。
 
エンドクレジットではLouie Louieの爆音の中、粋なメッセージ。
 "LONG LIVE JOE STRUMMER"
この映画公開の頃やったんやね。

上映が終わり、明るくなった場内。UPLINK吉祥寺のロビーにてスタッフ数名にパワハラ言動をしつつ帰宅。
 シガレッツをやらない自分はコーヒー&クロレッツあたりでお茶を濁すしかないのであった。


茶三毛 レーコーの一句
「レーコーと 注文したこと ありません」
(季語:レーコー→夏)
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