kazマックスグローバーレッド

チザムのkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

チザム(1970年製作の映画)
3.6
『スリー・ジャスティス』に続きビリー・ザ・キッド関連でリンカーン郡戦争を描いた映画。そもそもリンカーン郡戦争とはニューメキシコ州リンカーン郡で悪徳商売をしていたマーフィーと、まともに商売をしていた牧場主タンストールとの争いが勃発。タンストールのビジネスパートナーが元弁護士で雑貨屋店主のアレックス・マクスィーン、そしてこの映画のタイトルにもなった牧場主のチザム。タンストール側の牧童兼用心棒はビリー・ザ・キッド。この争いで理不尽に殺されたタンストールの仇を撃つビリーがマーフィー側の人間を殺しまくって手がつけられなくなり、やがてお尋ね者になってしまったのがざっくりとした概要。

チザムが被害にあった牛泥棒や馬泥棒を捕まえていたビリーがリンカーン郡戦争の後に彼の牛を盗むことになり、しかもチザムが任命した保安官ギャレットに撃たれるなんて皮肉な運命だ。

ギャレットの前職がバッファローハンター、ビリーは読み書きを出来ていた事実もしっかり描いている。その時に読んでいたのは旧約聖書「カインとアベル」で、これは兄のカインが弟のアベルを殺す人類初の殺人を描いた話。兄弟のように仲が良かったビリーとギャレットのその後を思わせる伏線にもなっている。

ラストシーンでビリー達がアレックスの家に籠城する展開が『ヤングガン』と同じだった。まぁ史実なんでそうなってしまうか。今回のビリーの仲間にはちゃんとドク・スカーロックも登場(エミリオ・エステヴェス版ではキーファー・サザーランドが演じていた)。

『ヤングガン』との違いはビリーとギャレットが一緒にタンストールの元で働いてたこと、籠城しているアレックスの自宅が雑貨屋、籠城戦の突破口となるカギがチザムだったこと。この籠城戦にチザムが携わっていた記述は無いんだけど、そこは 「お前何様ジョン・ウェイン様映画」、見せ場はしっかり持っていきます。