茜

ハードカバー/黒衣の使者の茜のレビュー・感想・評価

ハードカバー/黒衣の使者(1988年製作の映画)
3.7
東宝のFANTASTIC!シリーズが好きで見つけたら借りるようにしてるんですけど、今んとこ全作自分好みのハズレなしで驚く。
本作も特別ブッ飛んだ内容ではないものの、綺麗にまとまったお話と演出でじっくり楽しませてくれるホラーという印象。
派手なグロゴアもないけれど、特殊メイクの出来は良いし、ストップモーションのモンスターもやや浮いてる感こそあれど愛嬌バッチリ。

主人公は本屋さんで働いており、一風変わった本を読むのが好きな文系女子。
偶然手に入れたホラー小説を読み進めるうちに、作中に登場する黒服の狂人が現実世界にも姿を現し始め、彼女の身を脅かしていく。

この本に登場する狂人はケスラー博士っていうおじさんで、全身真っ黒な服装に身を包んだ如何にも怪しいビジュアル。
でも顔半分を覆い隠す布を取ると、目以外の鼻や耳や口を全部切り落としたグロい顔面が登場する(何故こんな顔面になったのかは作中で明かされる)
前半でケスラー博士が「新しい顔だよ~」ってアンパンマンみたいな台詞吐きながら初めて覆面を取るシーンは、割と唐突だったのと特殊メイクのクオリティが存外良かったので意外とビックリした。
ケスラー博士が失った顔のパーツを集める為に殺人を犯すシーンも、影を用いた演出がドラマチックでかっこいい。
手堅くしっかりと「映像で恐怖を見せる」という、まさに映画らしい作りのホラーで好印象でした。

だからこそ終盤のケスラー博士とストップモーションモンスターの対決はちょっとギャグっぽくて違和感もありつつ…。
でも本が舞うラストシーンは爽やかで凄く綺麗だったし、全体的に「技あり!」って感じの映像が素晴らしかった。
茜