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怒りの山河のオーウェンのレビュー・感想・評価

怒りの山河(1976年製作の映画)
3.5
この映画「怒りの山河」は、アメリカン・ニューシネマのヒーロー、ピーター・フォンダによる壮絶な復讐バイオレンスの傑作だ。

故郷に帰った男が、地元開発者の不埒な悪行三昧に、怒りを爆発させて殴り込む。

B級映画の帝王にして、名プロデューサーのロジャー・コーマンが1973年の「ウォーキング・トール」のヒットに便乗して、当時、新進気鋭の才気あふれるジョナサン・デミを起用して作った作品だ。

クエンティン・タランティーノ監督もリスペクトする低予算映画ながら、痛快なグラインドハウス映画になっている。

都会で結婚生活に失敗したトミー・ハンター(ピーター・フォンダ)は、5歳の息子ディランを連れてアーカンソー州の農場に戻るが、石炭採掘業者の強欲社長フィリップ・ケリーが、悪徳議員と組んで強引に土地開発を行なう。

立ち退きに応じないハンター家は、執拗な嫌がらせを受け、訴訟を起こしていた弟のスコット・グレンが、妊娠中の妻と事故を装って殺されてしまう。

怒りに燃えたトミーは、工事車両を爆破するなどの暴れっぷりで、子連れバイク・チェイスも披露する。

だが、保安官も抱き込んだ攻撃はエスカレートし、一家を逮捕して有利な判決を下そうとした判事を暗殺。ついに、放火された家で馬を救おうとした父も死亡。

堪忍袋の緒が切れたトミーが、昔の恋人リン・ローリイに息子を預け、武装した荒くれどもが警備する社長宅に弓矢で殴り込む銃撃戦には、アクション映画ファンの血が燃える。

ピーター・フォンダ初監督作の「さすらいのカウボーイ」でも組んだボブ・ディランの名曲「ミスター・タンブリンマン」のモデルのブルース・ラングホーンの音楽も印象的な作品であった。
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