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フェア・ゲームのmadokaaaのレビュー・感想・評価

フェア・ゲーム(2010年製作の映画)
4.0
イラク戦争の背景で起こったプレイム事件の一部始終を描くサスペンス映画。

イラク戦争の大義名分とされた「大量破壊兵器の脅威」。
実際は開戦を正当化するために米国政府が流した嘘だったのだけれど、多くのメディアが踊らされ、世論が操作されました。

『記者たち』も鑑賞しましたが、断然フェア・ゲームをオススメします。
手に汗握る展開の連続で、実話というのを忘れてしまうほど。こんなに評価が低いのが悲しい、、。

サダム・フセインを肯定しようとは思いませんし、その独裁には問題があったと思います。

でも、嘘をでっち上げてまで開戦に踏み切る米国のやり方には甚だ恐怖しか感じない。

アメリカはフセインを打倒しましたが、結局何が変わったのでしょう。
事態は悪化しても、お世辞にも改善されたとは言えませんよね。リビアは?

かつて日本の真珠湾攻撃を「卑怯な奇襲攻撃」と非難しましたが、イラクへの攻撃は違うのでしょうか。

国連軍の名のもとに侵攻しようが、石油利権が絡んでいることは明らかですし、こんなもの内政干渉以外の何ものでもないよなー。

この映画では、イラクに大量破壊兵器が存在しないことを公表したために、アメリカ政府の厳しい報復に遭った元CIAの女性エージェントの実話が描かれています。

アメリカという国家、もっというと西欧諸国の恐ろしさを痛感しますね〜。

こと中東になると、そもそも信頼できるニュースソースすら少ない中で、日本に入ってくる情報はバイアスのかかった偽情報ばかり、、カダフィの独裁者イメージ、ソレイマニ司令官の暗殺、どれもこれも正当化でコーティングされてるけど、本当のところは謎だらけ。

どこまでもいいかげんな情報ばかりで、メディアへの信頼度は下がっていくばかり。
プロパガンダを見抜く方法はないのかな。

真実なんて簡単に捻じ曲げられて、正当化されてしまうんですね、、恐ろしい。
それでも、国家権力というとてつもなく大きな力に対抗する一人の人間の正義と良心に胸が熱くなりました。

過去政権とはいえ、権力批判をあからさまにエンタメ化できるアメリカはすごい。

メディアはジャーナリズムに徹してほしい。
madokaaa

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