いののん

決断の3時10分のいののんのレビュー・感想・評価

決断の3時10分(1957年製作の映画)
4.0
見てるしかなかった。
そんな男が、自らの人生の主人公となるまで。


エルモア・レナードの「三時十分発エマ行き」を原作に、1957年に映画化。『3時10分、決断のとき』(2007年)は、本作品をリメイクしたもの。でも原題は、両作品とも『3:10 TO YUMA』 (私は原作既読。リメイク作品は観たことがある。)


しっとり系できっちり系。
西部劇の王道(だと思う)。
男性同士の友愛?の他、恋愛も夫婦愛も、情感あふれる劇判とともにしっかりと描く。


アタシは、まだまだ西部劇超初心者に過ぎない!
昨年、何本か観たからって、そんなんでいい気になるなよ!
それを思い知らされた。
最初の襲撃あたり、全く頭に入ってこなくて。いったい誰が駅馬車チームで、誰がギャングチームで、誰が保安官チームなのか全然わからず、苦労した。何回も戻った。しかも、気持ちの良い音楽が眠気を煽ってくるし。オラオラオラ


ベン(ギャング団のボス)と一緒に、家族4人が夕食をとる場面。あたたかくて美味しい食事。この家族の善良さがとてもよく出ていた。そういう人々に対して、神様はきっと恵みの雨をもたらしてくれるだろう。


ギャング団のラスボスであるベン・ウェイド。心に隠してる焦りや、自分にないものをもっている目の前の男、ダン・エヴァンスへの羨望。描き方が上手い。知性にあふれ、言葉巧みなベン。


主人公のダン・エヴァンスは、なぜ引き受けた仕事を、命を賭してまで、やり抜こうとしたのだろうか。
息子達に、父親の勇姿をみせたい。美しくて優しい妻に、夫として良い想い出を贈りたい。家族のために、最後までやり抜きたい。それは確かにそうだ。でもきっとそれだけじゃない。自分自身のため、ということも、きっとゼッタイ、ある。請け負った仕事は最後までやり通したい。ひとりの人としての、ささやかな自負、仕事人としてのプライド。そういったものもあったのだと思う。だって、私たちは、そういった、取るに足らない(ことなのかもしれない)もののために、日々を生きている(こともある)。


これを観た各々は、自分のささやかでちっぽけな仕事を最後まで貫徹しようと、そして、目の前にあるささやかな日常をあらためて取り戻そうと、ひとりで勝手にその気になってw、胸アツになること必定。それが決断の3時10分である。



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*お酒好きのアレックス、いい味だしてます。
通風、お大事にしてください!
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