CHICORITA主任

秒速5センチメートルのCHICORITA主任のレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
4.0
『君の名は』『天気の子』『すずめの戸締まり』など大ヒットを連発する新海誠監督の初期アニメーション映画作品がこのたびリバイバル上映。初公開は2007年の作品です。
未見だったのでこの機会に鑑賞。

今の季節にぴったりな春を舞台にしたラブストーリー…と思いきや、ほとんどは冬や夏の話なんですね。しかし、冒頭とラストで描かれる桜の花の舞い散る春の風景が切なくも美しく、作品全体のトーンを決定づけています。

秒速5センチメートル、桜の花びらの舞い落ちるゆっくりとした速度でも、人の心は変わるし離れていく…そんなテーマを美麗な背景とエモーショナルな音楽で彩った作品で、若い頃なら小っ恥ずかしく感じてしまうようなセリフも多いですが、今では結構素直に楽しめました。

しかし、やはり新海誠監督はこの頃から演出力抜群だったんですね。
冒頭の二人の踏切のシーン、数十秒を観るだけで、これは別れの物語なんだとわかるようになっていて、確かな演出力・画面構成力を感じました。
比較的キャリア初期の作品なので、最近の作品と比べて荒削りに感じる部分もありますが、素晴らしい一本だったと思います。

来月には『雲のむこう、約束の場所』もリバイバル上映するようなので楽しみです。
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