もりいゆうた

秒速5センチメートルのもりいゆうたのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
5.0
時々ここでレビュー代わりに日記を書いてるんだけど、今日のは日記。日記と思い出話。

先月なぜか数年ぶりくらいに体調が良くなくて、睡眠薬が無いと眠れなくなってしまった。眠れないせいで食欲も無くなり、活動意欲も失いつつあって、

でも、意地でもモチベーションを上げなければ!!!!と、大大大好きな『君の名は。』を見た。

すぐにオーディオコメンタリーも見て(初めてオーディオコメンタリーを最初から最後まで見た気がするのと、ここで初めて知った奥寺先輩と司が結婚していたという裏設定)、からの久しぶりの『秒速5センチメートル』

二つとも本当に素晴らしい作品で創作へのモチベーションは上がったのは言うまでもないですね。


ただのオタクだから、子どもの頃からほんと浴びるようにアニメを見てきて、その中で最も記憶に残っているのがこの『秒速5センチメートル』

2012年の2月に見た。とんでもない作品を見てしまった衝撃さは今でもはっきりと覚えている。

その頃は大学の春休みで、あまりに感動してその日の夜中にまた最初から見てしまった。

その熱冷めやらぬ数ヶ月後、「インタビューさせてください!!!」と事務所に電話し、新海誠監督にインタビューさせてもらった。

新海さんは作品から滲み出る繊細さからもわかる通り、とても優しい方だった。

サークルで作っていた雑誌に出てもらえてとても嬉しかった。


その頃はまだ『言の葉の庭』もまだ作られる前で、「新海誠って誰だよー」と周りに言われた。

それから4年後、まさか『君の名は。』であんな大ヒットを飛ばすなんてね。思ってもみなかった。本人もそのときのインタビューで「僕は細田守さんとは違って、メインストリームをいくタイプではないので」って言ってたのに!

ちなみに『秒速』の舞台である「参宮橋駅」の踏み切りもそのサークルでの活動場所だったという奇跡。3年間毎週通ってたよ。

立派な作家になって新海さんに再会したいと思う。


とにかく

『小説 秒速5センチメートル』(新海誠)

『秒速5センチメートル one more side』(加納新太)

この小説2冊が最高で、映画版が大好きな人はすぐに読んでほしい。

新海監督は、登場人物たちを美しい風景の中に置くことで「あなたも美しさの一部です」と肯定することにより誰かが励まされるのではないかと思っていたらしいんだけど、

意図とは逆に「ひたすら悲しかった」「ショックで座席を立てなかった」という感想がすごく多く、その反省から第3話のラストを補完するかたちで『小説・秒速5センチメートル』 を書いたみたいなので。


この映画、女子ウケが本当に良くないのがびっくりだ。女の子は『言の葉の庭』の方が断然好きみたいね。

高校生の頃に両想いだったけど付き合わなかったあの子は大人になった今でも自分のことを好きかもしれないと思っていたがあるんだけど、

「もし男がこんな風に(貴樹くんみたいに)思ってるんだとしたら、そら男女はすれ違いますな」と女友達に言われて苦笑いしたことがある。俺だ。


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※追記 2024/4/4

リバイバル上映で初めて劇場で!!観てきました!!!!歓喜。

貴樹くんの一人の女性をずっと想い続ける恋愛と、二十歳までの連絡先も聞けない超奥手の自分の恋愛とを重ねながら、高校生の頃、一度も話さずメールだけで過ごした3年間のことをずっと思い出していました。

その子のことは大学に入ってからもずっとどこか頭の片隅に想っていて、地元に帰省する度に、その子の最寄り駅が乗り換えの駅なのですが、その子がいないかずっとどこか探している自分がいました。そんなとこにいるはずもないのに。

そして、そんな中、この映画を観る直前に、駅でばったりその子に再会したんです!!!!

3年間メールだけだった子と、今日再会した。

これを奇跡と言わずになんと表現できよう。

僕が電車を乗るタイミングで、向こうが降りてきて、一瞬だったから、話しかけられなかったけれど。

ほんとこの映画のラストシーンみたいに。(実話です)


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ところで、リバイバル上映だけに、おそらくこの映画が大好きな人しかいなくて、不思議な一体感があってとても良かったです。

隣の高校生くらいの男子が号泣してて、終わった後、謝られたのがすごい印象的でした。その気遣いが心地良かった。

僕、高校生、サラリーマンのおじさん。この並びの席だったのだけど、それぞれの立場のそれぞれの人が、『秒速5センチメートル』が大好きな人しかいないこの空間。

その年齢で、この映画で号泣できるってもう大恋愛してきたのかなぁ。少年よ、僕は連絡先も聞けなかった初恋をひたすら思い出していたよ。