円柱野郎

秒速5センチメートルの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公の中学~社会人までの青春模様を3話オムニバスで描いた新海誠監督のアニメーション。

第1話は「桜花抄」はモノローグ(手紙の内容だけど)と風景描写の積み重ねが、いかにも新海作品らしい構成。
相手との距離や時間による焦燥感というのは今までの作品でもやっているので「またか」という印象はあるけど、掴みの話なのでまあアリか。
しかしこういう情感描写は上手いとは思うけど、もはや新海作品ではベタの域か。

第2話「コスモナウト」は主人公が引っ越した先で、主人公に憧れる少女からの目線。
やっていることの“もどかしさ”は青春だなあとは思うけど、ここで第1話の主人公が相手となると安易にくっついてもらうのはどうかとも思うわけで、結局成就しないことで話を成立させてしまうのは、その相手との距離感が監督らしい?w
ちなみにロケット発射のシーンがありますが、西日(?)の方向に傾いて飛んでいくロケットが納得できません。
次の場面では日の方向が逆になってるし…。
(まあ、そういう細かいところを観る作品ではないがw)

第3話「秒速5センチメートル」は、それまでの二話で少々お腹いっぱいなので、また同じようなことをされると辛かったけど、そこはちょっと演出を変えてきたので良かったです。
いきなり 山崎まさよしが歌う『One more time, One more night』のミュージックビデオになるとは思わなかったけどw
結局第1話のことを引きずっていっただけの主人公は哀れな人物なんだろうけども、まあ、そう想って生きていくのはそんなに悪い事じゃないんじゃないかと思う俺は主人公と同族なのかもね。

とにかく全体を観ればとにかく切なさだけが残る作品でした。
というか新海監督らしい話ですな。
…この監督はこんな後味の作品ばっかり。
円柱野郎

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