福岡拓海

秒速5センチメートルの福岡拓海のネタバレレビュー・内容・結末

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

最後に観たのは高2だったと思います。
想い出は遠くの日々がyoutubeで流れてきて、久々に観たくなって観てみました。実は当時観てから、今までで観てきた映画で1番モヤモヤが残った映画だった印象。今回改めて観てみて、自分の中での感じ方が当時観たときと変わっているのを感じました。

当時分からなかったのは、遠野くんは明里を守るための力がほしいと仕事に没頭していたのに、なぜ仕事を辞めて、明里と離れ離れになってしまったのか、明里は結婚式前に遠野くんに送ったメールに、「あなたのことは今でも好きです」と打っているのに、好き同士の2人なのに、どうして離れ離れになっているのかその描写が(あえて)なかったから当時の純粋だった僕はどうしても理解できませんでした。

今なら、そのあえて描写しなかった部分を視聴者に投げかけていることが分かるし、中学で離れ離れになり、高校で連絡を取り続け、(おそらく)大学生になった後3年間付き合った明里と、まるでどんなことでも分かり合えると思っていた彼女と、どこが合わなかったのか、二人の間にどんな障害があったのか分からないけど、何があってもおかしくないと思えるようになったし、それがリアルだと思えるようになりました。ただ、どうして遠野くんはかつてあれほどまでに真剣で切実に想っていた明里への気持ちが綺麗に失われてしまったんだろう、、みなさんはどう思いますかね、

この作品がフィクションだとは分かっていながらも、文通での言葉遣いや、言葉選び、携帯がない時代だから連絡できないからこそ会えた時の喜び、気軽に連絡できないからこそ言葉を選んで相手に伝える、そして、登場人物それぞれの心の葛藤がとてもとても美しいものだなと感じました。この作品、自分の心の葛藤はとても言葉にしているのに、実際は全然相手に話していないように思いました。相手との好きを育んでいくのにそんなに言葉は要らないんですかね?ただ、明里は遠野くんに結婚式前のメールで、「私達はきっと1000回もメールをやり取りして、多分1センチくらいしか近づけませんでした」と言っています。伝えたいことを伝えないと1センチしか距離が縮まらない、言葉にして話し合いをするともっと心は縮まるかもしれないけど、もっと離れていくこともある。言葉にしてしまうとはっきり伝わりすぎてしまったり、伝えたいことが言葉で表現できないことがあったり、言葉にしないことで伝わらないこともある。
うん、難しいですね、、

この映画は新海誠作品の中で僕は1番好きです。最近の映画と比べる訳ではないですが、フィクションの中に自然にノンフィクションを感じることができ、リアルな視点で観ることができました。(雪の日の山小屋毛布は凍死するけどね笑)音楽も素晴らしい!たまにサントラを聴きたくなってしまいます。映像も良い!10年以上前とは思えないですよね!
おすすめの一作です。