櫻イミト

アサインメントの櫻イミトのレビュー・感想・評価

アサインメント(1997年製作の映画)
3.5
「ジャッカルの日」(1973)と同じく実在する暗殺者ジャッカルが登場するポリティカル・サスペンス。監督は「ココ・シャネル」(2008)のクリスチャン・デュゲイ。「アサインメント=Assignment」とは課題・役割の意味。

1986年。国際的テロリスト、通称“ジャッカル”ことカルロス・サンチェス(アイダン・クイン)を追うCIAのジャック(ドナルド・サザーランド)とモサドのアモス(ベン・キングスレー)は、誤認逮捕してしまったほど彼に生き写しの米海軍大佐ラミレス(アイダン・クイン=二役)に出会い、替え玉作戦によるジャッカル逮捕への協力を持ち掛ける。。。

閣下殿から「ジャッカルの日」と併せての鑑賞を勧めて頂きました。

純粋に面白く、当日に「オッペンハイマー」を観てモヤモヤしていた気分が吹き飛んだ。

おそらくは大予算では無い中で、巧みなエンターテイメント・プロットと創意工夫ある効果的な撮影で最後まで完走していてとても楽しめた。ファーストカットの高低差と窓枠を乗り越えるワンカメショーから惹きつける。続いての“蜘蛛殺し”のカットはジャッカルの残忍性をズバリと表し、実は演出上の布石にもなっていて実に気が利いたもの。こうした細かいサービス精神が随所に見られ、その積み重ねが本作をB級映画ではなく極上のエンターテイメントへと押し上げていた。

脇を固めるサザーランドとキングスレーが両方とも好きな俳優なのも嬉しかった。特にサザーランドは怪演で、主人公へのスパルタ訓練を始終ニヤ付いて嬉しそうに続けているのが印象的。この狂気じみたキャラクターがラストのどんでん返しに説得力を持たせているの面白い。

替え玉作戦というありがちな設定を最大限生かした秀作。プログラム・ピクチャーの時代であれば名作として名を残したと思われる隠れた一本。
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