ルサチマ

間奏曲のルサチマのレビュー・感想・評価

間奏曲(1957年製作の映画)
5.0
全てのショットが格別な美しさ。こんなにも立体的になるもんなんだ。

アメリカから来たヘレンは自らを平凡といい、オーケストラの指揮者によって連れ出された憧れの地で同じものを見ることで一瞬の恋を夢見るが、そこで見る絵画は複製されるものであって、彼女が他の女と何ら違わないのに何故自分なのかという不安をそのまま見つめることになる。
それでもなお愛してることを伝えるために今その瞬間にしか鳴らない音楽を奏でる。
ヘレンが常に身に纏う白のドレスは、何色にも変わることのできるが故に何にも属さない固有の色彩。

その色彩に対して色を持つものが、指揮者が隠していた病気の妻。彼女にとって旦那の存在は変えの効かない存在であり、そんな色彩を持っていた彼女が自殺未遂をするときにヘレンと同じ白を身に纏うのは、彼女が愛する旦那に見出されるためなのか、もしくは自分の固有のものを投げ捨てたい思いからなのか、あらゆるエモーションが白いドレスに集約され還元される切なさが凄まじい。
ルサチマ

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