『ラスト サムライ』(The Last Samurai)2003
かつては英雄だったが今は落ちぶれて酒浸りになっている男性主人公が外国に来て戦うべき敵を見い出して英雄として蘇る。
このプロットは「MINAMATA」と同じだと気がついた。つまりハリウッドの公式に当てはめて書かれた脚本だったんだという事。
フランス軍籍を離脱して箱館戦争に参加したジュール・ブリュネの物語を下敷きにして西郷隆盛と西南戦争を参照して描かれた叙事詩。
史実と照らし合わせると疲れ果ててしまうくらいツッコミどころだらけ。苦笑いを噛み殺しながら見続ける2時間半。
最後の戦争場面はエキストラの数も多くスケール感がある。官軍はライフルと大砲とガトリングガン。勝元軍は弓矢と刀。圧倒的な武力差を抱えた対決だが実際の西南戦争では西郷軍も鉄砲を使っていた。
官軍が再装填に時間が短い後込め式に対して西郷軍は時間がかかる先込め式の違い。ここもハリウッド式誇張ですね。
渡辺謙の勝元は「王様と私」のシャム王、「地獄の黙示録」のカーツ大佐みたい。謎めいていて主人公を翻弄する。西郷隆盛の面影はない。
それにしても明治時代に忍者は無いわ。
史実をヒントにして描かれたファンタジーと思うしかない。