ちぢみりゃんまち

ラスト サムライのちぢみりゃんまちのレビュー・感想・評価

ラスト サムライ(2003年製作の映画)
3.5
 外国人からみた日本や武士道の美しさをこれでもかというほど魅せられた。
建物や部屋、食事ひとつとってもその簡素さに、また格式ばった所作にも美しい心遣いが見え隠れして日本人ながら感嘆する。
 葉隠の有名な一節「武士道のとは死ぬことと見つけたり」とあるが、武士道贔屓な自分でもこの文言は酷く時代遅れであると思うどころか、没我という精神性は僕が日頃から最も忌避しているものである。
 恥を最も気にする日本人が西洋の波に対抗出来るはずもなく、少し前に従来のケータイをガラパゴスケータイと呼び始めたのもその日本人の性質を利用した携帯会社の戦略なら頷ける。
 武士のように潔く死ぬか、元祖メンヘラ太宰治のように自己憐憫に埋もれて死ぬか、坂口安吾のように格好悪く生き抜くか。時代が進むごとに人類は人間性を失っていき、医療は進み寿命は伸びる一方で生き残るのは難しくなるだろう。ガラパゴスであった日本、宗教性のあったわかりやすい時代に憧憬を抱きながらこの精神の消耗戦たる情報化社会を我々はどう生き抜けばよいのだろうか。