Omizu

ラスト サムライのOmizuのレビュー・感想・評価

ラスト サムライ(2003年製作の映画)
3.7
【第76回アカデミー賞 助演男優賞他全4部門ノミネート】
『グローリー』エドワード・ズウィック監督がトム・クルーズを主演に迎え、日本を舞台に描いた作品。アカデミー賞では助演男優賞(渡辺謙)、美術賞、衣装デザイン賞、音響編集賞にノミネートされた。

何故か避けていた作品だったが思いの外良かった。日本描写は意外とちゃんとしているし、トム・クルーズもはまり役。エドワード・ズウィック監督のスケールが大きくスッキリとした演出もよかった。

都合のいい展開、過度なオリエンタリズムは気になった。なぜか重要人物(勝元=渡辺謙)が英語ができる設定だったり、いきなり主人公が刀社会に順応できたり。また「武士道」というものが繰り返し連呼されるが、それに頼りすぎではないかとも思う。

しかし全体的には飽きずにしっかり映像の力で見せてくれたいい映画だった。ズウィック監督作品はたぶん『レジェンド・オブ・フォール』しか観ていないが、同じくスケールの大きな歴史大作をスッキリとまとめ上げる手腕は流石のもの。

勝元がなぜか英語を話せるという不自然な設定はあれど、その演技はやはり世界の渡辺謙という感じだった。真田広之や小雪、子役時代の池松壮亮など日本側のキャストはみな良かった。トム・クルーズも斜に構えた南北戦争の英雄を上手く演じていた。

感動こそあまりしなかったが、戦闘シーンなど迫力ある描写が多く惹きつけられる。期待値をあまり上げずに観たのがよかったのかも。もっとめちゃくちゃな日本描写なのかと思っていたらそんなことはない。日本人キャスト同士では基本日本語で話すし、時代考証もきちんとしているのでは。

絶賛!というわけではないが、意外にちゃんとしたスケールの大きな歴史大作で面白かった。手堅くまとめたエドワード・ズウィック監督の手腕も感じられ、トム・クルーズのスター映画、渡辺謙の出世作としても十分評価に値する作品だと思う。
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