Walrus

巴里のアメリカ人のWalrusのレビュー・感想・評価

巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)
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終わってからもしばらく耳に残る「An American in Paris」、ジーン・ケリーの歌と踊りを伴う「I Got Rhythm」、音楽の知識がなくても脳より先に耳がガーシュウィンの天才さに感服してしまう。
独学で作曲を学んだ上、ジャズとクラシックを融合させたというだけで、天才としか言いようがないでしょう。

主人公の友達、ピアニストのアダムがジャズとクラシックを論争する人たちの隣でピアノを弾くシーン、そして大きいステージで演奏する夢のシーンを見て、もしかしてガーシュウィンのことかな?と思って調べてみたら、アダムを演じる役者がガーシュウィンと親交のあったピアニストだったらしい。サプライズだった。

ジーン・ケリーは、笑顔、踊り、歌、全ての仕草が自然でありながら情熱溢れて、見ているだけで胸がわくわくする。
最後の20分間、「An American in Paris」の全篇やジーン・ケリーの歌とタップダンスだけでなく、白黒のラフ画が幻想への突入に伴いカラフルなフランス絵になってゆき、鮮やかに表現するパリの風景も。ガーシュウィンへの礼賛かパリへの礼賛かわからないぐらい満足の20分間だった。

SNSとかで、たまにパリの人と比較してアメリカ人をいじる動画を見かけるけど、70年前の銀幕にジーン・ケリーがパリの子供たちに囲まれる中タップダンスをする姿があったということに、なぜか感動する。
そして主人公男女二人がディープブルーに染まった夜の川沿いで踊る姿を観て、いまも同じようにマジック・アワーの中で男女二人が踊るシーンが「ラ・ラ・ランド」にあったなと思って、いつまで経っても、変わらないものがあるのだなと少し感動した。
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