冷蔵庫とプリンター

自由の幻想の冷蔵庫とプリンターのレビュー・感想・評価

自由の幻想(1974年製作の映画)
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一般的な社会通念とは真逆の価値観のもとに生活する人間を描くことで、逆に社会通念そのもの、規範そのものの不条理を浮かび上がらせた傑作。
公共の場での排泄を奨励し、食事をタブー視する独特の場を目撃した我々が問うべきは、なぜ食事の話題がタブーなのかではなく、なぜ我々の社会は排泄の話題をタブー視しているのかである。
自由の幻想に囚われ、社会規範に縛られて生きている現代人の写し鏡としての映画。
普通でない者の視座から普通そのものをラディカルに問い直す村田沙耶香の小説や、藤子F不二雄のSF短編などを想起させる。
映画で言えば、ハネケ、トリアー、ランティモスらヨーロッパ監督にも共通する感性。