RIO

夜行列車のRIOのレビュー・感想・評価

夜行列車(1959年製作の映画)
4.2
海岸ヘ向かう夜行列車にサングラスで人目を避けながら乗車する男イエジー
偶然 列車で同室になった女マルタ
窓を開けて目にゴミを入れたり 男がコンパートメントの扉を開けるとバングルを落として探していたり
彼女を追いかける男とわけがあるらしい
こんな極めつけな状況に何もないはずがない

マルタを必死に振り向かせようとするスタシェクのズビグニェフ・ツィブルスキは何をしても何処にいても格好いい 絵になります

列車の通路で男が読んでいる 妻を殺した犯人は現在逃走中だという新聞記事

群像劇というには収まらない哀愁と衝撃を落としてきた
イエジー・カヴァレロヴィッチ監督は「思いやりへの渇望を描いた」と言っている
自分を映す鏡として愛を求めた
自分の存在を確かめるために

マルタがイエジーに抱きついたその手を彼女の体に回そうにも両手が水で濡れている それを分かって抱きついたマルタの気持ちが少し分かる気がする

忘れられない夜が過ぎてゆき
海岸に着いた後の乗車した人間たちが各々に散ってゆく
蒸気が散っていくような心地よさに強い温もりに似た余韻をもたらす
RIO

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