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夜行列車のsonozyのレビュー・感想・評価

夜行列車(1959年製作の映画)
4.5
ポーランドのイェジー・カヴァレロヴィチ監督作。
ワルシャワからヘル(バルト海リゾート)へ向かう夜行列車の乗客の物語。

ある理由で一人になりたい男イエジー(レオン・ニェムチク)は一等車の二人用のコンパートメントの料金を支払い案内されるが、既にちょっと怪しげな女マルタ(ルーシーナ・ウィニッカ ※ジャケ写左)がおり、ある男からこの席のチケットを譲ってもらったと言い張り居座る。
やむなく二人同室での夜行列車の旅が始まる。

マルタは恋人のスタシェック(ズビグニエフ・チブルフスキー ※ジャケ写右)との愛を清算するための旅だが、諦めきれないスタシェックもこの列車に飛び乗っており、女性車掌を通じて手紙を渡したり、途中の停車駅で窓から愛を伝えたり、粘っている。

イエジーらの隣室には弁護士夫妻が乗っているが、男好きなフェロモンで男の乗客たちの視線を集めるその妻はイエジーに色目を使っている。

一方、ある殺人犯がこの列車に乗っていることを突き止めた警察が途中列車に乗り込み、座席番号からイエジーが容疑者として取り調べを受けるが・・・

全編に流れるジャズ。
列車の中(客室や狭い通路)での人物を捉えるモノクロ映像が渋い。
徐々に明らかになるそれぞれワケありのイエジー(外科医)とマルタ(気象学者)の心の内。
ポーランド映画ではおなじみズビグニエフ・チブルフスキーのしつこさ(笑)
フェロモン弁護士妻、女性車掌、牧師、寝れない男...といった脇役たち。
夜行列車の中を中心に繰り広げられる人間模様。

特にマルタ役のルーシーナ・ウィニッカの憂い漂う演技が良かったです。気象学者/予報士という意外な職業も。

タイトルバックに流れるテーマソング(『Moonray(Artie Shaw)』のアレンジver. + ヴァンダ・ヴァルスカのスキャット)が沁みます。

ヴェネツィア国際映画祭: Golden Plate(ジョルジュ・メリエス技術賞)、Special Mention(ルチーナ・ウィンニッカ)ほか
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