映画は遠い過去のはなし

どですかでんの映画は遠い過去のはなしのレビュー・感想・評価

どですかでん(1970年製作の映画)
4.1
◎狂言回しの電車バカ。
鬼ワイフを擁護する優しい夫。
廃車の中で暮らす乞食の親子、そして子供の死。
腹違いの子供を産み続ける妻と、その子供達を我が子のように育てるお人好しの夫。
継父による強姦、刺殺事件
精気を失った男と懺悔する女房。
二組の夫婦交換。

◎社会の最底辺で暮らす貧しい住人達のオムニバス群像劇。良い話など一つもありません。
暗く救いのない悲惨なエピソードとは対照的に、視覚に訴えかける極彩色の世界観に衝撃を受けた記憶。

◎貧しいながらも懸命に生きる住人達の根底に流れる愛らしさ、ヒューマニズム、ユーモア。

◎これは前衛的過ぎて、興行的にヒットしなかったのは当然でしょう。この作品以降、良くも悪くも作風が明らかに変わってしまった。黒澤明のもう一つのヒューマニズム。でも私にとっては忘れられない作品となった。