ラピュタん

8 1/2のラピュタんのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
5.0
永遠の輝きだー💎 
深い美しさに酔いしれる

五年に一度は観るべき
正に奇跡のような映画

大きな大きなロケットの発射台が出てきますが、肝心のロケットはそこにない…

新作を作ろうとして苦悩する映画監督グイド(Mマストロヤンニ)の頭の中が、超高級温泉療養施設を舞台に描かれています
ブルジョワな高齢者たちがより長寿を願い集うような場所のようですが、疲労困憊してそこに逃げてきた43歳の設定の監督(フェリーニの分身)が映画の構想を立てているという構造


どのシーンもとても印象的で劣化とは無縁の輝きがあり、音楽に喩えるとモーツァルトの音符のよう🎵 忘れられないほどのしなやかな美に溢れているので

たとえ途中で眠くなってもいい
次は例えば五年後に再鑑賞してみませんか
人生のコマが進めば、謎が解れていき味わいも増すのですから
また、未来の自分が驚くほど記憶に残る画が多いことを発見できるはず
(自分の拙い鑑賞経験の反省を込めて)


好適なのは高校生以上、老若男女を問わず
誰もが観賞すべき名作の筆頭ですが、
カップルには不向きかも
「あのシーン、何を意味してるの?」
と訊かれても、当日はきっと困るはずだから…どうかしら?

⭐️ 巨躯でまるで魔女のような元踊子
 海辺の砲台跡を住処にして孤独に生きる
 狂女サラギーラ、彼女が踊るシーンの切なさ
 どうしてでしょう、毎度涙が出ます
 「チャオ」と狂女が微笑む刹那は少年の胸に
⭐️回想シーンだけでも一本の映画のよう
 美術も最高🤎
⭐️マストロヤンニの甘くて抗えない魅力!
⭐️逃避する彼の前に天使が現れますが
 天使は救いでなく、業を際立たせる存在
⭐️ハーレムを妄想するグイド
 愛人たちがみなさん仲良くしている中で
 汗をかいて家事をするのが、奥さん🪣
 彼女に当たる反転のスポットライト
⭐️「人生は祭りだ、共に生きよう」
 例えば配偶者と共に生きるということは
 映画監督曰く、映画制作のよう🎬
 嗚呼、映像の魔術師フェリーニさまが
 創造的に気付かせてくれるのです
 しかもこんな美しいやり方で!

「わたしに何を撮っているのですか?なんて、訊かないでください
「自分でも分からないのですから!」
(フェリーニ)


OTTO e MEZZO
テーマは、ドーンと人生そして世界の平和
シネマ史の誇る気品の芸術作品
ラピュタん

ラピュタん