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8 1/2のodamakinyanのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
3.5
いわゆる名画で有名作品で、期間限定が迫っていたのでアマプラで見ました。虚構と現実というよりも楽屋裏と現実という感じの映画で、映画作りの裏の舞台が、文字通り演劇の舞台のようなセットで描かれたりする。監督の映画作りの苦悩というよりも、楽屋裏はこんなんですよというのをオシャレに見せたいという映画で、あらすじはほとんどないに等しい。思えば日本のテレビドラマで「居候ばんざい」や「怪盗オヨヨ」の子供心にもわけがわかんなかった楽屋裏ネタの回は、すべてこの映画に端を発していたのだった。監督役の男性がいきなり鞭で女優たちをひっぱたこうとする場面は、おそらくキューブリック監督の「時計仕掛けのオレンジ」の一瞬出る最終場面の元ネタだろう。そんな風に、それが元ネタだったのかと思う場面が数々あり、見て損はなかった。そうそう先日見たタルコフスキー監督の「ノスタルジア」でも出てきたのと同じ洗面台のセットがあった。イタリアの温泉地に滞在中というところも同じで、それもたぶん踏襲しているのだろう。しかしこの「8 1/2」見て面白いという作品ではない。それは断言できる。なにがしかの感動を求めたり、人生の教訓を与えられる映画ではない。つまり同監督の「道」とはまったく違う作品だということです。

まあそんなわけで、最後どう終わるんだというだけで最後まで見てしまった。女優陣はそうそうたるメンバーで目の保養になる。制作が1965年でちょうど米ソの宇宙開発競争のまっただなかでロケットの発射台のセットが出てくる。時代ですねと思いました。画面作りはさすがだという感じで白黒のコントラストがはっきりくっきりで非常に美しい。白黒作品でここまでという感じでした。ただひとつ気になっていることがあって、今を去ること約35年ほど前、レンタルビデオ店で借りた「カラー作品」の「8 1/2」を見たかすかな記憶があり、それはこのアマプラで見たものとは冒頭の飛ぶ男の場面以外はまったく違っていた。あれはいったい何だったのだろう?今検索してもそのような作品は影も形も出てこない。あのレンタルビデオは本当に今もって謎なのである。2時間18分
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