KumaHarry

8 1/2のKumaHarryのネタバレレビュー・内容・結末

8 1/2(1963年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

初見では何がおもしろいのかよくわからず考察して結局2回見た
作中で主人公が言ってるように正直で妥協がない映画を目指して作られてるように思うし、正直で妥協なく主人公のだめ男ぶりが描かれている

映画監督である主人公グイドは名実ともに評価を得ながら常に世間から次作への期待やプレッシャーを受け続けている
ほとんどスランプ状態といえる中、自身の都合のいい態度も起因して奥さんとも、愛人との関係もうまくいかない

そんな中でグイドの現実逃避願望が高まり、その妄想や夢がそのままダイレクトに描かれる
この現実と妄想のシーンには境目がなく地続きとなっていてそこがすごくおもしろい
現実のやり取りだと思ってたらいつのまにか白日夢を見てる気になったり、主人公の勝手な願望の垂れ流しみたいになったりして映画的な表現として本当にすばらしい

ただこんな表現が初見でわかるわけないと個人的には思うし、当然のように断片的で支離滅裂なシーンの挿入にしか見えなかったりする
そういう点ではマイナスでないかとも思った

またおもしろかった点として、ロケット台は作ったものの結局撮るものも決まらず新作の映画制作は中止になるわけだが、その中止になったエピソード全体をこの8 1/2という映画が描くことで一つの作品となっている点が非常に逆説的であるしすごい
スランプ状態を逆手にしているといえるし、まさに正直で嘘がない映画ということになるだろう

あと唐突で支離滅裂と思えるシーンの会話も、どこか示唆的というか何か心に引っかかってくるようなものがありそこもよかった

ウェス・アンダーソンのアステロイドシティも初見ではよくわからなかったが、この映画を見ると相当影響を受けてるように思えてより理解できたような気がした
KumaHarry

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