ゆみモン

月は上りぬのゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

月は上りぬ(1955年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

田中絹代監督作品。意識的なのか、小津安二郎的世界を表出している。
未亡人の長女をはじめ三姉妹のそれぞれの恋愛と、それを見守る父親・笠智衆。
末娘・節子役の北原三枝が、魅力的で溌剌とした現代っ子を演じている。姉の恋路にお節介を焼くが、自分のこととなると奥手になってしまうのが可愛い。
自分を迎えに来てくれた男から、これからの生活の苦労を言い含められ、男に「その分俺がかわいがってやる」と言われてしおらしくなるのは時代だなぁ。

奈良の風景も美しく、二女と恋人が「万葉集」の歌番号を使った暗号の電報で愛を交わす…なども良かった。

「月夜」というのは男女を仲を近くするものだ。夜が明る過ぎる現代に、その風情が無いのが残念だ。