キヲシ

月は上りぬのキヲシのレビュー・感想・評価

月は上りぬ(1955年製作の映画)
3.0
4K版にて鑑賞。脚本は小津安二郎。出演は笠智衆、佐野周二と続くので、どうしても比べてしまう。しかし、主役は北原三枝と安井昌二(なぜか役名も同じ)。浅井家の表札に斜めににじり寄るカメラ移動で、あ、やはり違うなと。姉の杉葉子と三島耕をくっつけようと計画し、お手伝いの田中絹代に代役で電話をかけさせようとする場面が面白い。田中に演技指導をする北原という逆転を二人が実に楽しんでいる感じでほっこりする。この後、もうひとりの若い女中を巻き込み、中二階にある杉の部屋を風取り窓?から、背を屈めて覗く二人の姿。で、遂に杉と三島が月夜の野外で出会うわけだが、歩く三島に違和感が…。そして次に、このままではひとり旅立つ安井のもとへ喧嘩中の北原が訪ねる場面で、手前の灯りの消えた部屋で座り込む安井(すぐに気付き驚く北原)…ここで連想したのが黒沢清「回路」。どちらも後の展開は上手くいくことになるのだが、不穏な不安な危うい感じを受けるのは何故?長女役の山根寿子のアップとか女優の様々な表情が丁寧に撮影されているなあ。。
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