ダイナ

そして誰もいなくなったのダイナのレビュー・感想・評価

そして誰もいなくなった(1945年製作の映画)
3.8
アガサ・クリスティの長編推理小説の映画化。孤島に集められた男女10人が正体不明のホストの手によって1人1人殺されていく。

ミステリーものの「クローズド・サークル」&「見立て殺人」ジャンルの代表的作品。童謡「10人のインディアン」というフレーズ毎に1人ずつ何らかの理由で消えていく歌詞に見立てられ、実際の人物も歌詞をなぞる様に始末されていくストーリーが面白いです。登場人物が10人という個性の多さに最初尻込みしそうですが予想以上にハイテンポでサクサク死んでいき主要メンバーが絞られていく構成は脳内整理に優しい。そして状況説明がとても丁寧、ビリヤード玉での状況整理なんかは映像化をとても活かしています。ことある毎に思考をぶつけ合う会話劇、定期的に浮上する怪しい奴にはちゃんと突っついてくれるやり取りも不自然さが無く良いです。それぞれが視線で語る演技も上手く、全編通して相互監視のサスペンスが描かれます。監視する奴を監視する奴を監視…というシーンはコミカルでとても好きなシーン。

構成とクライマックスは原作と異なっており、個人的には原作の方が好みでした。映画の終わり方は意外性というより唐突感が強い印象なのが惜しい。しかしミステリー系に明るくない人にはお勧めしたいタイトルではありますし、原作のみを知っていても新鮮に感じる部分が少なからずあるのでミステリージャンルの教養として抑えておいて損はない一作です。
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