みや

そして誰もいなくなったのみやのネタバレレビュー・内容・結末

そして誰もいなくなった(1945年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

孤島に招かれた10名の男女が罪を告発され、子守唄の歌詞に従って殺されていくクローズド・サークルミステリの傑作。

原作はアガサ・クリスティーの同名小説。小説は1939年に刊行され、この映画は1945年にアメリカで制作されたので、「発売当時」という言い方をしても構わないのかな?白黒映画は滅多に観ないので味があって良かった。

でも、これは納得がいかないよ…。全員いなくならないの?ほんとに?本気でこれ?基本的には原作に忠実に進んでいたから結末も同じになると信じていたのに、まさかの生き残り。しかも分かりやすい美男美女…。う~ん、この物語は島から誰もいなくなって完全犯罪を成し遂げるからこそ美しい作品なのに。そこに至るまでは凄く面白くて、ラスト1分10秒までは★5だったから残念すぎる。

みんなが疑心暗鬼になっていく流れや、その時に表れる各自の人間性の描き方が上手い。いきなり10人を把握しろいうのはなかなかにハードな作業であるはずなのに、恐らく多くの人がその点をストレスフルに楽しめると思う。探偵ごっこを楽しんでいたり、人が死んでも他人事としてマイペースに生活していたり、どことなくズレている人が多く、「罪を償ってこなかった無神経な人たち」という設定が強調されて良い。
無記名投票でみんなに(と言っても2票)疑われた執事が「じゃあ、夕食作らないもん!」と拗ねちゃうのが可愛かった。編み物をする厳格なマダムの毛糸玉にじゃれつく猫も可愛い。

耳の遠いおじいちゃんが肝心なところで何度も聴き返したり、数珠つなぎに前の人を覗く人を覗く人を覗いたり、ホッと一息つくコメディ要素が各所にあってテンポ感がとても良かった。
97分とは思えない充実さ。(結末以外は)満足度が非常に高い。だからこそ改悪が残念すぎる。私の97分を返して。
みや

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