櫻子の勝手にシネマ

大いなる遺産の櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

大いなる遺産(1998年製作の映画)
5.0
巨匠アルフォンソ・キュアロン監督作品。
文豪チャールズ・ディケンズの官能的な世界。田舎町に住むフィン(イーサン・ホーク)は、資産家の美しい少女エステラ(グウィネス・パルトロウ)と出会って以来、彼女に心惹かれている。しかし、淡い恋心は実ることなく7年の月日が過ぎ去った。
ある日、画家を目指すフィンの元に、経済的支援をしたいという夢のような申し出が舞い込んだ。一体誰が?何のために?
キュアロン監督がディケンズの名作を映画化。舞台を現代のアメリカに移し、グリーンを基調とした官能的な世界をスタイリッシュに描いた。冷たく美しい令嬢にはグウィネス・パルトロウ、彼女を一途に想う貧しい青年画家にはイーサン・ホーク。
二人の愛の軌跡にロバート・デ・ニーロとアン・バンクロフトが圧倒的な存在感でミステリアスに絡み合う。

この映画が公開されたのは1998年。
私は6歳だった。
中学生になってから母のDVDを借りて観て、とても感動したことを覚えている。
ディケンズの『大いなる遺産』は読んだことがあったし(岩波文庫版)原作のストーリーも知っていたけれど、物語の舞台が現代のアメリカに移った事でより一層興味がわいた。

衣裳、ヘアメイク、音楽、映像、絵画など全てが完璧で目眩がするくらい。
ディンズモア婦人の邸宅で、ダンスを踊る子供時代の二人がとても可愛くて微笑ましい。
ディンズモア婦人がシャンパン片手にノリノリで歌いながら踊り回るシーンが大好き。
音楽はあのベサメムーチョだ。
ベッサメ〜ベサメム〜チョ〜♪のフレーズがしばらく頭から離れなくなるからあら不思議(笑)

フィンが描く絵画は気鋭の画家フランチェスコ・クレメンテの作品。
エンド・クレジットで劇中で使用された彼の作品(エステラの肖像画)が“Mono”の曲“Life in Mono”をバックに映される。
このLife in Monoがめちゃくちゃいい曲なんだなこれが。
彼らの曲は他にも劇中で使用されていて、どの曲もすごーく良いのでオススメだ。
私は映画のサントラもお気に入りで頻繁に愛聴している。

キャストも完璧で皆素晴らしい。
特にエステラを演じたグウィネス・パルトロウの美しさは別格。
大人になってフィンと踊る時に着ていたグリーンのハイミニドレスが超絶可愛い。
お揃いのカチューシャもブロンドヘアにとても良く似合っていた。

子供時代に、二人が噴水のような水飲み場で、水を飲みながらキスをするシーンが大人になって再会するシーンとリンクする場面。
子供の時もフィンが最初に飲んでいて横からエステラがふいに唇を寄せてきて…という流れまでリンクさせているのが憎い。
再会した後散歩するセントラルパークのパインバンクアーチのカットもため息が出るほどの美しさだ。

他にもたくさん取り上げたい場面があるんだけどキリがないのでこのへんにしておきます(笑)