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大いなる遺産のkyokoのレビュー・感想・評価

大いなる遺産(1998年製作の映画)
3.8
リメイクだしな〜、と期待せずに観始めたら、嬉しい誤算。とても良い作品でした。
まず少年期のフィンの可愛い事。エステラの妖艶な事!
特に水飲み場でのキス、とても子供とは思えない妖しさで大人になってからの同じシチュエーションのものとは比べ物になりません。大したニンフ振り!
あの冷酷な眼差し。今後この少年の心を引き裂くであろうって事がアリアリと目に浮かぶような。
そして17才の時のイーサン・ホークはビックリする程無理があります。
エステラ役のグウィネス・パルトロウ(緑の服が似合う)も断然少女時代の子の方がいいです。役のせいもあるかもしれないけど何か存在が希薄で…。
ミセス・ロビンソン(『卒業』)こと、アン・バンクロフト、醜悪なメイクで怪演してます。その分、最後に素顔で出て来るところにはその仮面の下の現実、老女の弱さ、哀しさにハッとさせられます。が、私は自然な老いた顔の方が断然美しいと思ったのでした。
でも、何よりもこの映画で印象的なのはデ・ニーロ。しかも彼の手。説明したくないので是非観て下さい(不親切)。最後にデ・ニーロが出て来るシーンではその手で心をわし掴みされっぱなしです。
この作品はアン・バンクロフトとロバート・デ・ニーロなしでは成り立たなかったでしょう、と言うか私の中では主演はデ・ニーロです(あ、ジョー役の人もとてもいいです、この映画は大人たちがいい!)。
ディケンズの原作とはまるで全く別の話のようですが少年が人との出会いを通して成長していく様は全く違うとも言い切れないところもあり。
とにかくこのデ・ニーロを観て欲しい! と言い切ってしまう作品。彼の出た全てのシーンが心に残ります。
あ、そうそう。冒頭のマイアミの海のシーンもとても美しくて素敵です。
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