ギズモX

ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクションのギズモXのレビュー・感想・評価

5.0
【やりすぎた!!】

"シェークスピアでは批評家は満腹、俺は腹ペコ、
バナナの皮で滑って転び、笑わせろ!"

WBのルーニーテューンズが実写の世界でドンチャン騒ぎをするコメディ映画。
僕にとってのベストディレクターの一人、
『グレムリン』のジョーダンテがその愛ゆえに監督生命を削ってまで放ってしまったルーニーテューンズ版『レディープレイヤー1 』又は『ワンスアポンアタイムインハリウッド』
『エグゼクティブデシジョン』『ザグリード』そして『スモールソルジャーズ』の音楽を手がけたジェリーゴールドスミスの遺作でもある。

この映画の最大の特徴は、

《細かすぎて伝わらない膨大なパロディの数!》

"引かぬ!媚びぬ、省みぬ!"な、映画マニアでないと絶対に分からない様々なギャグが、演出、音、エキストラ、小道具に至るまで山のように積まれており、映画のイースターエッグ探しを楽しんでいる人にとっては堪らない一品となっています。
『ビーストウォーズ』で声優が子供置いてきぼりのネタで暴れまわったあの感じに近い。
実際に声優同じだし。

一例(ほんのひと握り)

•最初からバッグスの代表作『標的は誰だ!』が再現される。音楽もピッタシ。
・ダフィーのデスクの置物の写真に写っているのはルーニーテューンズの原作者の一人、チャックジョーンズ。
•バッグスが『サイコ』の完璧な再現をする。しかも白黒。
•エリア52では『ダーレク』や『ロボットモンスター』などの50年代クラシックSFモンスターが夢の大集結。
•主演俳優達による『007』や『ハムナプトラ』のメタネタが満載!
•『スクービードゥー』のシャギーとスクービーが実写版の俳優をコケにする!
•ルーブル美術館では『ナイトミュージアム2』のようにバッグス達がダリやムンクの絵に入ってドンチャン騒ぎ!
(ルーニーテューンズはダリのシュールレアリズムに多大な影響を受けている)
•劇中で『グレムリン』のテーマソングが挿入される。
その時に出てくる車の名前が通称"グレムリン"
•我らが御大将、ロジャーコーマンがバットマン映画の監督役で御出演。
セリフは「"このマットは高いんだぞ!"」

ルーニーテューンズ黄金期のネタもしっかりある。
コヨーテに至っては実写にも関わらずいつも通りの登場と自爆をかましてくれます。
『スペースジャム』で初登場したあのキャラクターに対するdisネタもあるぞ!
この映画で一番分かりやすいネタなのが「ニモが釣れた!」とライトセーバーかな。

ダンテの"愛"と"アイデンティティ"が狂気的に詰まりまくった作品であり、大人子供を完全に置いてきぼりにさせるナンセンスなギャグが凄く楽しい映画です。
最近はこういうやりすぎて見ている人をドン引かせてしまうようなギャグ映画が減ったような気がしなくもない。
ストーリー?そんなものはない!

「映画見たなら何かを学んでさっさと帰んな!」

余談

実はダンテはこの映画の出来に満足していない。
なんでも製作中にワーナー上層部と凄くモメたらしく、十分にやらせてもらえなかったからだそうだ。
よくよく見ているとワーナーだったりと大手企業を馬鹿にしている節があるので、彼らのやり方に不満があることが伝わってきます。

追記

あと、これは多分『グレムリン2』のアレのリメイクだ。
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