世界中の全員に置いていかれたような気分になることがある。雑踏の中は手に負えない。こんなにうじゃうじゃ人がいるのに、誰とも通じ合うことはないんだろうな。よせばいいのに立ち止まりそんなあたり前を噛み締める。笑い声や甘い会話をごぼう抜きで歩く速度は誰の歩幅にも合わせない。わたしだけのテンポと足音。ホッとしながらちょっと寂しい。映画の中にある繋がりや厄介事に身を置くのは得意だ。何度見切りをつけてもたち切れない愛情や、怖じ気づくような岐路はわたしの近くにもゴロゴロ落ちている。端から見ればちっとも幸福ではないかもしれない。毎日を見えない誰かに感謝して、今ある生活を慈しんで、そんな風に思慮深く出来ていないわたしは色んなものを見落としがちだ。この映画の中の人たちはそんなわたしと肩を並べている気がした。うんざりとにっこりの比率。転んだ時の無様な姿勢や、そこから立ち上がる逞しい所作。色んなところが似ていて嬉しい。こそばゆい。わたしの街も、外から見たらあんな風にやさしく光っているのだろうか。近くにあるとどうしても気づけない。あれでもないこれでもないと、色んな事を吟味して本当に大切なものを選べるかは疑問だ。でもアミダくじで決めるわけにもいかないし、わたしはこうして選んでる。そして誰かに選ばれてる。登場人物みんな、ちょっとづつ誠実でちょっとづつ間違ってた。「誰それはクズだ」とハッキリと言える人はこの先もどうぞそのままで。でもわたしは言えないから、出来損ないも優柔不断も繰り返す過ちも、全部引き連れて歩いてく。同じように引き連れて歩く人と一緒に。

花火

とある週末
カフェで働くナディアは、伝言ダイヤルで恋人を探している
姉のデビーは夜遊びに余念がないシングルマザー
妹のモリーはもうすぐ出産だが夫のエディは何故か浮かない顔
年老いた両親は、互いをなじり合ってばかり
そんな折、ティムと名乗る男からナディアの携帯電話へ連絡が入る
彼と食事を共にし、うまく行きそうな予感に胸を躍らせるナディアだが……

女性たちの物語

雰囲気良かったです
街並みとかイイ感じでした

男女の関係や家族
重厚なドラマでした

いろいろ考えさせられる
庶民感があって好きだった

出産って大変

ウェイトレスのナディア（ジーナ・マッキー）は孤独で、デートを繰り返しても満たされない。彼女の姉は奔放なシングルマザー、妹は出産間近だがその夫が落ち着きなく、弟は音信不通、両親はいがみ合ってばかり。ロンドンの街を舞台に、人々が彷徨い出会う様子を映し出す。

夜のロンドンの喧騒がとても印象的で魅力的。
マイケル・ウィンターボトム監督は、「CODE46」で合わないかなと思ったけど、この雰囲気はかなり好きだった。

ナディアを中心にしながらも、個性豊かな面々の群像劇がリアルに展開するのが面白いし、終始、緩やかな音楽も素晴らしく、ずっと聴いていたくなる。

原題は「Wonderland」。
登場人物たちはみんな、悩む自分以外の人々の世界がワンダーランドに見えるんだろう。それはきっとロンドンだけじゃなくて、世界共通。
特に、一人で彷徨う少年ジャックの涙が切なく心に残った。

生きるのが辛くて、周りが華やかに見えるけど、人生にはそれぞれ必ず支えと喜びがあるってことなんだろうなー。
でも、子供が生まれそうなのに仕事辞めて行方をくらますエディとか、息子を放置してバーに飲みに行くダンなんか絶対許せない！

そして、初老のパパとママの
“何かしたら？”
“何をしろと？”
“情けないわね！”
って会話が我が身に迫る。笑