ダイヤモンド

存在の耐えられない軽さのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

存在の耐えられない軽さ(1988年製作の映画)
3.0
人生は私にはとても重いなのに あなたにはごく軽いのね_。

ソ連の軍事介入により、自由を失ったチェコスロバキア。
息をするのも苦しい人々の一部は、自らの存在の希薄さから、退廃的に生きる。
まるで根無草のように、その日をその日を漂って。

医師であるトマシュはその根無草。
女から女へと、愛欲に溺れる。
でも田舎町で出会ったテレーズに惹かれ、結婚までする。
トマシュの心底で消えずに残っていた“祖国へのアイデンティティ”が、彼女に共鳴したかのように。

私はその軽さに耐えられないの
私は強くないから_。

いつしかトマシュもテレーズの影響を受けて、眠っていたアイデンティティが呼び起こされる。
そのため、プラハから逃げるように田舎へ越す二人。
幸い、そこで根無草であった彼はようやく地に足がついたような生き方を見つけた。
しかし運命は皮肉であった。

ダニエル・デイ・ルイスもジュリエット・ビノシュも若い。
そしてレナ・オリンも。

先日亡くなられた、原作者ミラン・クンデラに追悼の思いを込めて、観ました。