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激動の昭和史 沖縄決戦のTAMUのレビュー・感想・評価

激動の昭和史 沖縄決戦(1971年製作の映画)
3.9
ここ大阪、映画館がほぼ空いてなくて寂しい思いをしてますが、仕事に追い込まれて、そんな思いまで忘れるほどの激務の毎日…

ようやく少し落ち着いたので久々にネトフリに手を伸ばし。どういう訳かネトフリには岡本喜八作品がたくさんあって、見つけてきたのは本作。

なんと当時の沖縄の人口の3分の1が亡くなっており、その経緯を辿るように、サイパン陥落からの日本軍の動きを中心に、知事、市民、学生らの翻弄される姿を描く。

今のコロナの状況を見て思うのだが、沖縄県でコロナ感染者が増えたのは恐らくゴールデンウィークに本土の人が旅行に来たから。
国はオリンピックやワクチンはさておき、沖縄、北海道の医療体制を増強すべき。

変わらんなーと思うのは、この映画では本土は窮地に陥る沖縄への増兵を渋るのである。
本土決戦に備え、沖縄には1日でも1分でも長く持ち堪えることを指示する。

沖縄を守る将校たちは有能に描かれる。中将の小林桂樹は穏やかに動じず、作戦参謀の丹波哲郎は激しいが部下の想いにも耳を傾ける。同じく参謀に仲代達矢。英語も堪能な冷静な戦略家。この3人の力強い役者がストーリーを引っ張る。

それ以外にも、田中邦衛、加山雄三、井川比佐志、と豪華。特に将校の理髪師となる田中邦衛のひょうきんな演技は、軍部の中心で重くなりがちなストーリーを和らげる。

ただ、ストーリーの後半は実際がそうだっただけに悲惨のひとこと。逃げ場のない本土決戦は地獄。確かに逃げるも何も自分が生まれ育った他を侵略してきた米軍は、現地の市民、学生にとっては戦う以外の選択肢は無いだろう。

青酸カリか何か毒を飲む、飲まされるシーンが多彩で苦しい。本土は沖縄を一度切り捨てた過去があることを我々は忘れてはならない。
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