このレビューはネタバレを含みます
沖縄戦が始まる時から終わる時までを様々な立場の人の視点で描く。
岡本喜八は笑ってはいけないようなシーンで笑を入れてくる。いや、笑いを入れる事で映像に緩みが生まれ、より観客の心を強く動かすことにつながることを意図していたのだろう。
なんとも涙を誘ったのが、ラストシーン前。骸骨のように痩せ細った老人が亀甲墓から出てくるシーンだ。彼は竹槍を持ち、アメリカ兵に向かって果敢に挑もうとする。しかし、歳のせいか足が弱く、何度も転んでしまう。そんな彼を見て、笑う米兵たち。なんとも皮肉なことか。そして、バックでは沖縄民謡が大音量でかかっている。その異様な組み合わせがなぜか、ガッチリはまっているような気にさせるのだ。
沖縄に行く前に見て良かった。この映画を見たからこそ、ひめゆりや旧海軍壕に行ったときも、スムーズに当時の様子がイメージできた。