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ブリティッシュ・サウンズの文字のレビュー・感想・評価

ブリティッシュ・サウンズ(1969年製作の映画)
4.2
 イギリスで撮影され、イギリスで放映することを予定していたがテレビでの放映を拒否された曰くつきの作品。ドキュメンタリーのような「映像」に対して、歪とも解釈できる様々な「音声」。普段映像作品を見ていて「映像」と「音」の対立を意識することはなかったけれども、本作においてそれが強く意識させられた。認識の転換が起こった。ただ、私にはその「音」の多くが字幕として、つまり視覚情報として入ってきたので、ゴダールの狙い通りの認識の転換には至らなかったのかもしれない。
 拳に突き破られるユニオンジャック。長回しで撮影された自動車工場の製造風景と労働者たち。女性の裸体。極右的ニュース。労働者の背景に飾られていたピカソのゲルニカ。毛沢東に傾倒する学生。赤旗とそれをつかむ血まみれの腕。
 闘争の音。資本の音。帝国主義の音。労働者の音。学生の音。革命の音。読み上げられる共産党宣言。フロイト的革命、マルクス的セックス。団結せよ。連帯せよ。Hello, Goodbye. 階級闘争に終わりはない。
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