かるまるこ

ムトゥ 踊るマハラジャのかるまるこのレビュー・感想・評価

ムトゥ 踊るマハラジャ(1995年製作の映画)
4.1
やっぱり意識低くて最高。
こういう辛い時期にラジニカーントはとても沁みる。

アマプラでデジタルリマスター吹替版を観る。
今は亡き渋谷シネマライズ公開時より断然キレイになってる。
しかもこの吹替が輪をかけて意識低い創りでもう本当に最高。
「絶対そんなこと言ってないだろ」的な、アフレコ現場で色々足しちゃってる感じが『Mr.BOO』とか『霊幻道士』なんかを彷彿とさせ、本来ならちゃんとやれよと怒る所だが、この作品はこれで正解。

確かにプロット等色々な面で洗練されているとは言い難い出来だし、
ただでさえオールドスタイルなラジニ作品の中でも特に古臭い印象は否めないのだが、それがラジニ作品ひいてはインド映画の良い所。

例えば、後半の、夜中に皆が噴水のとこに集まっちゃうシーンなんて喜劇的にはベタだし、プロット上、無くても特に支障ないんだけど、真相が明かされる後半はどうしてもトーンが暗くなるから、たぶん観客の感情のバランスを考えて入れてる。

意外と忘れがちな、そういった観客第一、娯楽第一のサービス精神がインド映画にはある。

観客を楽しませるためなら作品が破綻しても構わないという心意気がインド映画にはある。

映画とは何か。映画とは何のためにあるのか。その本質を常に見失わない姿勢は、どんな意識の高い映画より、本当は意識が高いことなんじゃないだろうか。

どんなときも初心に帰らせてくれる、
どうして映画が好きになったかを思い起こさせてくれるインド映画がやっぱり好きだ。

まだ観たことないという方は是非。
かるまるこ

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