mfg

道中の点検のmfgのネタバレレビュー・内容・結末

道中の点検(1971年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます



ロシア映画 アレクセイ・ゲルマン映画好き

芸術性
哲学
台詞
雰囲気

思想
(全面的に肯定はできないけど…(共産主義 マルクス主義における不幸平等の思想とか 嫉妬心の正当化とか…自分の不幸を他人のせい環境のせいにする間違った合理的思考とか…etc…))

重厚感
意味ある静寂 趣ある静寂
複雑で繊細で不可思議な人間の心
苦しみ 悲しみ 争い 貧困 絶望 未来への希望の無さ 猜疑心 嫉妬心 不安 やけっぱち 敵に対する強い憎しみ etc…負なるものの渦

タバコの需要

儚く呆気なく散り行く命
戦渦における命の価値の認識軽さ…?
愛牛を追って死に…洗濯物を取り込もうとして死に…

人間としての懐のデカさ 度量 大局観 不動心

ヒトラー小話
ドイツ人ブラックジョーク 皮肉






Chapter1

戦渦における民衆の苦しみ悲しみ①
()

土砂降りの雨


雪上の戦闘①
銃の標準に定められたターゲットたち
(=“畜生ども”)
・メガネが一人
・意地きたない奴…喉に詰まりそうなくらい貪り食う
・ちっぽけなチェス盤で遊戯に耽る者たち
・まだ若い将校…ピッタリな長靴


ボロ小屋
戦渦における民衆の苦しみ悲しみ②
()



Chapter2


敵意 強い憎しみの念
青年の若さ青さ勇敢さ愚かさ
年を経てきた者の重み厚み深み 智慧 達観 心の余裕 懐の大きさ 慈悲

“捕虜” “投降者” “自分から銃を捨てた”として…
“元赤軍伍長”

批判や罵倒に耐え忍び…
殺さずに連れてきたことや それを勲章目当てによる行動であるする批判
“この裏切り野郎!”とか…“規律を守れ”とか…の罵倒

“達者でな また会えるといいね”
必死にその後を追う3人の子連れの女
閉めても開く窓



道行く中での事情聴取 語らい

“計算じゃなく運命ですよ”

同じ人間同士なのに憎しみ合い疑い合い殺し合うことの辛さ哀しさ愚かさ

愛し合い生かし合い信じ合うユートピア社会が築かれることを心から祈る

“銃なんてまだるっこしい”との砲兵の何気ない発言
…人間の命を何とも思ってないような…?

運ばれる荷台の遺体



Chapter3
投降者と若者

罪人同士として
窮地に追い込まれた若者との出会い
(まだ18なのに 明日は処刑の運命で…/醜くも(…かつ 当たり前な反応ではあるけど)あたふた あたふた…/タバコを求め…ウォツカを求め…/)

・“何も知っちゃしない”
…無知の罪 愚かさの罪
・誰でもいいから言い訳を聞いてほしい感 同情を乞う感じ
…未練がましくて…往生際悪くて…情けなくて…惨めで…
・そして結局 他人のせい環境のせい 自己保身
…厳しい環境ではあるけれど…自己責任
・投降者の罪を知った途端 見下した舐めた態度に…
…からのまたも嘆きモードに…



夜のトーク
ヒトラー小話



Chapter4

雪上の戦闘②

爆撃 銃声
洗濯物を取り込もうとして死ぬ女性
燃える家々
逃げ惑う人々
松葉杖をついて逃げる片足なき者
坊やの死を嘆く女性
“牛の沼”への撤退指示
赤ん坊の鳴き声
避難に際し抱え出して来た荷物を途中で道に捨てる女性

…人間の命の儚さ切なさ 戦争の苦しみ悲しみ 執着を捨てることの大切さ



ピンチはチャンス…?
…かと思ったけど再び絶望…
混乱に乗じて逃げ出そうとするも…

→ 兵士たちのこしょこしょ話の隙にやっぱり逃亡する若者
→激しく銃をぶっ放す青年

逃げずに残った投降者の射殺命令
一度は命令に従おうとするも 大尉の反対(まだ調べ終わってないため)に乗じて投降者を殺させまいと必死に訴えかけるする青年
…心根の良さ 美しき正直さ
(…しかしあくまでも弱き善人に留まる感が残念…)

しかも罵倒されて…
(“その(=殺す)値打ちもないさ おまえなんか”とか色々…)

そしてまた投降者に対してはあくまでも一兵士として振る舞い…



投降者×大尉



炊事場にて

“餌”
酒100グラムとスプーンも与えられる
そしてまた罵倒され…喧嘩を売られ…
…しかし捕虜として護られ…
人々の冷たくて鋭く刺さるような視線と、それを一身に受けながら去りゆく後ろ姿の哀愁がなんとも辛い…



Chapter5

ヒトラー小話
(ヒトラー視察時の話…敬礼ではなく“ロシアの泥の深さ”/ヒトラーが精神病院に行った小話)

痩せた2人に太れ命令

届いた小荷物
“誰も入れるな”
“食えるだけ食って寝ろ”
凍ったイモ
“早く太れ ドイツ兵に似るように”
ギセイを出してまで調達した貴重な品々(←“作戦のためだ 仕方ない”)やタバコを与え…
それに貪りつくように手を出す飢えて痩せた野犬のような2人
(⇔“(“あんたは?”と問われて)役目が違う”と言い残し その場を立ち去り…)



投降者を“お祝い”に連れ出し…
“試す”ため…?
夜の森
焚き火の元に集う人々
アコーディオン



Chapter6

実地で試され…

私的感情挟みまくり…?
興味 関心 嫉妬 見下したい蔑みたい心 etc…?

パーソナルトーク
(故郷/前職(=タクシー運転手))
車を止めさせ 敵が油断した隙に攻撃させる

“一人でやらせろ”と援護もなしに…
…しかし 見事にやってのける投降者

しつこい怖気づき確認

敵の死体に仕掛けをして…
それに近づいた敵を爆破&射撃

敵の死体から身分証明書を奪い…
死んでると思われた敵兵からのイタチの最後っ屁的弾に撃たれる大尉
惨めな因果応報



検査
“各部署”
北ドイツ人
牛のような目
だいぶ切羽詰まってる…?
(イライラして横暴な態度…八つ当たり気味…?自分に言い聞かせるような“何とかなる 何とか”…?)



担架で運ばれながら 自らの死を悟ったのか投降者へ自身の愚行を謝罪
許しを与える投降者…そして絶命…



Chapter7


報告
参謀の車を無傷でぶん取り森に隠したこと
投降者は合格判定

少佐vs.隊長

少佐
・仲間が撃たれたことに対する厳しい追及
(それに対する負け犬の遠吠え的言い訳や雑な見地も情けないけど…)
・呆れるほどの猜疑心
・理屈
・“不人情”
・“お前らは甘いぞ 抜けてる”とか“お前らのように簡単には乗せられんぞ”とか…
…人のミスや欠点 弱点等をこき下ろしたり、人を簡単に信用せず 疑いに疑うことをもって自身が賢いと勘違いしてるのでは…?
・皆の命を考えているとこもある…?
・許す心のない人間としての器の狭さ

・教条的
・厳格
・英雄的に戦うが態度が大きい
・死にかけてたのを隊長が救って昇級の口ぞえしてやったのに…
・橋爆破時の不人情発言


隊長
・少佐に対する人情派的意見
“(屈折しまくった少佐の考え方 投降者に対する有り得ないような疑いに対し)そんな考え方は不人情だよ ひどいよ”と
・少佐に対するTHE・漢…!的主張
(“任せておいてくれよ 少佐”/“信じるとか信じないとか そういうのは女の子に占わすさ”/“ここでは俺が隊長なんだ パルチザンの勘でやるよ”)
(・→“お人好しめ”)
・安っぽい媚び諂い煽て(…そして批判)など意にも介さず…

“譲る”発言に対する怒り
(“何だ 譲るとは ゲームじゃないぞ”)

実直で…誠実で…真面目で…真剣で…
上手い生き方とは言えないけど 真なる生き方 とは言えると思う


言い訳 逃げ腰な姿勢 強者と判断した相手に対する媚び諂い(→自身に利得なしと判断すれば批判したり…)etc…
とにかく卑怯…とにかく最低…
・“そうでなけりゃ撃たせなかったんだが…”とか“直接は見なかった”とか…
…油断の言い訳…?論点のすり替え…?
・厳しい少佐の追及に耐え切れず、話し中に立ち去ろうとしたり “ねえ 隊長”と人に押し付けたり…
・少佐が立ち去れば隊長に擦り寄ってみたり…
・“(あらぬ疑いをかけられた投降者に対し)かわいそうだが少佐に譲るしかないね”とか…
・“(隊長に対し)あんたのお荷物になるよ”とか…
・→“出て行け!うんざりだ”と言われれば”あんたも少しおかしいよ”と批判してみたり…
・自己愛 自己保身のみに依拠した生き方、(悪い意味で)クラゲのようなふわふわした生き方、志 信念 信ずる正義 etc…のない薄っぺらい生き方
…反面教師的にとても勉強になる

※目上の人と話す時は立ちましょう



橋の爆破における一悶着






Chapter8

…そしてまた媚び諂い
…そしてまた冷酷至極少佐

馬小屋
ヒトラー小話

首吊り自殺を図る投降者
…本来受刑するはずだった首吊りという手法にて命を絶とうとするあたりが何とも…

…しかし一命を取り止め…
(ベルトの革が切れて助かった)

人情派的対応…?
・自身の命令として斥候たちの所から温かいスープを貰ってくるよう指示したり…
・投降者を起こしてやり…スープを飲ませて暖めてやり…人払いをし…
・投降者への熱いお言葉

相手の心情を十分に慮った上で 現在の世情 客観的視点 一般常識等も踏まえた

明日に控えた“大事な任務”
(駅に潜入し、ドイツへ向う食糧列車が入ってる列車を4人で奪いとる重大任務)
“死ぬなよ 生きて働け”
“列車を奪え それで汚名を雪ぐんだ”

その訴えかける瞳には ただ単に投降者を利用するためとしてだけではなく、真に心から投降者自身のためを思った真実語であるように思えるけど…



そして任務へ…



Chapter9

酷い新年…
上等兵夫人役の態度からパルチザンと身バレして…
親しい関係性ぽい見張り台を刺し…
撃って撃って撃ちまくって…
銃撃に屈さず命懸けで食糧列車を奪われまいとする者
ボロボロになって…食糧列車を追いかけ…



軍歌
凱旋
街中
家々の窓から旗

大尉と連隊長殿との再会
・熱い抱擁 勝利を祈って乾杯
・かつて大尉に救ってもらった恩を忘れず 大尉の功績を上申し昇級するように取り計らおうとする連隊長殿
・→…しかし“必要ありません”
・動かない車両を力のある奴を集めて押し出す
…生き生きとした掛け声 表情…そして涙…“さあ どんどん行け!”

自身の地位や名誉に対する欲なく あくまでも泥臭く生きようとする大尉の心
mfg

mfg