rage30

ベイブのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ベイブ(1995年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

牧羊犬を目指す、豚の話。

久しぶりに見返したのだけど、今見ても動物達が自然に見える事には驚かされた。
本物の動物達に加え、アニマトロニクスや編集を駆使した映像は、まったく違和感を感じさせない。
30年前の映画だが、これなら現代の子供達が見ても楽しめるのではないだろうか。

物語に関しても、“らしさ”からの逸脱を描いた物語が素晴らしい。
主人公ベイブは豚らしさから外れ、牧羊犬を目指すだけでなく、威嚇する事で羊を従える…牧羊犬らしさからも外れていく。
その上で、優しさや礼儀正しさという、自分らしさを発揮する事で、彼にしかなれない牧羊豚になるのである。
他人の決めた“らしさ”を否定するだけでなく、自らの“らしさ”を肯定する物語には、エンパワーメントされる人も多い事だろう。

個人的には、ベイブと対比的に描かれる、レックスの存在を通して、脱・男らしさの物語としても読み取れた。
劇中、何度か「男らしく」や「男の子なら」という台詞がある様に、牧場の世界は非常にマッチョであり、その価値観を体現するのがレックスだ。
男らしいレックスは責任感があり、プライドも高いのだが、その反面、自らの弱さを見せる事が出来ず、ベイブにも敵対的な態度を取ってしまう。
その結果、誰にも手がつけられなくなり、隔離されてしまうのだが、有害な男らしさとは、まさにこの事を言うのだろう。

そんな彼だったが、最後はベイブの事も、自分の弱さも認め、羊達にも敬意をもって接する事を誓う。
男らしさに縛られない、ベイブの生き方はレックスにとっても救いになったに違いない。
rage30

rage30