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マネートレーダー/銀行崩壊のRのレビュー・感想・評価

4.6
10億ポンドの損失でベアリングス銀行倒産か。とのニュースの音声と共にタイトルROGUE TRADERが画面上に現れる。ローグなトレーダー。いかにも非道い悪者のような響きだが、主人公ニックを演じるのはとっても爽やかな若き日のユアンマクレガー。冒頭のナレーションで、僕はニックリーソン 聞き覚えがあるはずだ、と語られ、聞き覚えはありません、と思ってると、ニコラスリーソンによる本に基づく、とクレジットに現れる。ナルホド、実話なのだな。世界最古の名門民間銀行ベアリングスで出世を夢見る青年ニックは、ジャカルタで1億ポンド分の債務処理を成功させ、先物取引部門の責任者に昇進。最初は日経平均と日本国債のデリバティブ取引などですごい額をノリノリで稼ぎ出し、銀行のスター社員になるんやけど、損失が出た際にそれを誤魔化すため架空の取引口座を作り、そこで自己売買を繰り返すことに。最初は、積み上がった損失を取り返しの利益で何とか帳消しにできたのだが、またまた損失が出てしまい、まー、何とかやりくりできるだろう、と思ってるうちに、だんだんと額が巨大化していき……やばい! やばい! ってなっていく。友人に先物トレードを研究し尽くしてる人がて、しばしばボクに語ってくれるのが、とにかくノリでやっては絶対ダメ、入手可能なあらゆるデータを最低5,6年かけて検証したあと、自分の決めたルールに従って、一切ブレることなく、淡々とやるのが絶対要件。ビギナーズラックでポン、ポン、と勝ったりすると、負けが重なっていったときでも、いや、あの時のように挽回できる時がくる、と考えてしまうんやけど、焦りと興奮でどんどん負けが積もって大損になる。あと、ちゃんとルールに従ってても、ちょいと信憑性のありそうなデータや情報が目に入ると、検証することなく、ふらっとルール外のことをやってしまったりする。それも防がないといけない。とのこと。彼の主張を頭に入れてニックリーソンのトレードを見ると、基本の基本からダメダメで、おいおい、アホか。てか、ニックにとんでもない額の金を転がさせておきながら、ちゃんとした監視やストッパーを機能させてなかった銀行側も全然あかんやん!て愕然。中盤からは、もーそれはそれは凄いことになっていって、損失を隠蔽するのと、取り返そうとするのに必死になって、頭グルグルな様子がガンガンにこっちに伝わって、クラクラしてくる。うわーーーーー。やべー、やべーよ……。具合悪い…おええええ。そして、最終、日本を激震したある出来事が絶望的クリティカルヒットに! うおおおおお!!! 面白い!!! てか日経平均18000を割って大混乱て。この時、まさかその後さらに激しいことになると誰が予測したでしょう。いやー。ほんと怖い映画。のぼせ上がったひとりの人間がどこまでノンストップに暴走し得るか、そして一見ちゃんとしたシステムでもいかに気づかぬ間に個の暴走を見落としてしまいうるか。ほんまに、これは歴史的教訓だと思います。でありながら、地味だけどちょーおもしろい死ぬほどスリリングなエンターテインメントになってる! これは是非何度も見たいし、いろんな意味で多くの人に勧めたいな、と思う! 特に映像とか凝ってる映画なわけじゃないけど、是非ともBlu-ray化しておいてほしい一作です。
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