じゅんP

黄金を抱いて翔べのじゅんPのレビュー・感想・評価

黄金を抱いて翔べ(2012年製作の映画)
3.8
ケイパーものの大袈裟な仮面を被ってるけど、中身は井筒監督通常運転の人情もの。

金塊なんかよりもずっと求めてたはずの繋がりを手放してきた奴らが寄り集まり、擬似家族と呼ぶにはあまりに荒んだ賭けに乗る。

旅行は計画立ててる時が一番楽しいってね。
無計画な計画の、開けた期待感がもたらす無敵感。
手からこぼれてったもんを数えては、乾いた心で翔ぶ瞬間を描く日々。

雑で自罰的な生き方が染みついた体には、欲するものも、それに気づくほどの意思も、それを叶える術も、あんまり残されていなくて、パックの鯖寿司は冷たく腹を満たす。

惰性に身を任せてみても、抗おうともがいてみても、結局はじりじりと沈みゆく船。
どうせ限界の見えてきた航路なら、せめて自分の足で進んでやろうじゃないの。

動けば動くほどに、目に見えて破綻していく、死に場所探しの天国行き弾丸ツアー。

パッと自分の感情に火を付けられる、その小さな事実に救われる。
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