喜連川風連

殺しの烙印の喜連川風連のレビュー・感想・評価

殺しの烙印(1967年製作の映画)
4.5
「酒と女は殺し屋の命取りだ」

ご飯を炊いた香りが大好きな殺し屋。

ご飯が彼から遠ざかったとき、死の香りが漂い始める。

女と酒にのめり込み、落ちていく。
「俺に愛なんかない、女を愛しちゃいけねえんだ」

それでも魔的に美しい女に落ちていく。
女は胡蝶の夢のように、蝶の家に住んでいる。女は果たして現実か?幻か?

初登場は大雨の中をオープンカーで登場する。あれでは前が見えない笑

「殺し屋は人間的であっちゃいけねえ、乾いてなくちゃいけねえ、寂しさや孤独を通り越した先に殺し屋はいるんだ」

女はとうとう、画面の向こう側に行ってしまった。チャンピオン亡き、ボクシングリング場が寂しく映る。「ナンバーワンはおれだ!!!」

これぞ、ノワール映画。
黒の陰影を熟知した鈴木清順の技法。

ヒロインが手塚治虫のヒロインのようで、あの独特な死の香りがするヒロインはこのあたりから来ていたのか。

1950年〜1960年代、邦画は確かに世界に届いていた。
喜連川風連

喜連川風連