このレビューはネタバレを含みます
見たことないようなシーンの面白さ。
ツィゴイネルワイゼンのように完成されてはいないが、荒削りな鈴木清順の世界観が凝縮されている。
デフォルメされた癖の強いキャラクター。
感情がピーキーで色情狂のような甲高い声の妻。
メンヘラという言葉もない時代の、謎の多いメンヘラな女。
飯のにおいが好きな絶倫の殺し屋。
蝶が銃口に止まって標的を撃ち誤る。
「神様みたいに軽いヤツが銃の先に止まったんだ。それだけだ」
リングの上で「No.1は俺だー」と何度も叫びながら撃たれ、そして倒れる、あのラストシーンの何とも言えないシュールが、鈴木清順の独特な世界観。
2023-229