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晩春のYのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
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父娘の二人の関係に絞って余計なものが削ぎ落とされていて、二人の間の感情に集中できるし、定点カメラで撮られた日本家屋のカットがパッパッと切り替わっていく様は視覚的に美しかったし、紀子や周吉の表情の切り替わる時は緊迫感があるし、良い。

洋室に一人暮らししてる紀子の友達の存在も効いてて、家族の価値観が崩れそうで崩れない微妙な時代感が映されていて、それは紀子の取りうる選択肢の多さでもあるから、紀子どうするんだという緊張感を生んでて良かった。

ほぼラストの京都の宿のシーンで口数が少ない周吉が突然まくしたてるように喋るのは、周吉自身、寂しい気持ちと父の役目との間の葛藤と闘ってのことなんだろうが、かなりの怖さがあった。緩急がすごいし、個人的な感情をある価値観で押し戻さんとしてる人、こういう不気味さあるよな。
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