Monisan

晩春のMonisanのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.3
観た。

原節子がとっても綺麗。美しい。
まずはそこ。

北鎌倉の駅は昔と大きくは変わって無さそうだなぁ、スペースがそもそも無いもんな。

笠智衆演じるお父さんと、原節子の娘・紀子の人間生活のお話。奥さまを亡くして娘との2人暮らしは秋刀魚の味、と同じ設定か。
杉村春子演じるおばさんが、紀子の事を気にかけている。お父さんの仕事の手伝いをしている、服部とは良い関係には見えるが服部は結婚の予定が。
服部との七里ヶ浜から茅ヶ崎まで自転車でのお散歩は良い絵だし、原節子がキラキラしてる。

紀子とお友達とのやりとりがテンポも良くて可愛らしくて思わず顔が綻んでしまう。
あるわよ、おありよ。
無いない、出戻り。
いいなぁ、この台詞の愛らしさ。

杉村春子も本当良いよなぁ。良い世話焼きばばあ感。長屋紳士録の迷子、青木放屁も出てた。
世話してもらったお見合いに乗り気じゃない、紀子。またそれがお父さんの再婚とセットだから余計気に食わない。
映画の最初からずっと笑顔のノリコが初めてムスッとする。お父さんに対して、別に。なんて沢尻バリの返事しかしない。

冒頭で、再婚した小野寺の叔父さんへの嫌悪感示したしね…汚らしいとか言ってたもんね。

それでもお見合いは行った。まんざらでも無さそうではあるが。
おばさんの佐竹熊太郎の名前いじりは笑った。熊さん、熊ちゃんから、くーちゃんになるとは。

父娘で京都旅行へ行き、楽しそうな2人。そこでやっぱりお父さんといたい、と言った紀子への幸せのなり方についての話、これは良かった。今度誰かが結婚する際にはこの映画、このシーンをおすすめしよう。結婚したらすぐ幸せになると言うものではない、2人で作っていくものだ、と。
ようやく決心して、結婚式の絵。美しい花嫁。

紀子の親友の秋ちゃんに、お父さんが打ち明ける。実は再婚なんて決まっていないよ、一世一代の嘘を演じたと。
そうでもしないと、説得できないからね。酔って喜ぶ秋ちゃんにおでこにキスをされ、必ず遊びにおいでよ、とお父さん。

そして1人林檎?梨?を剥き、悲しげに突っ伏す。寂しいに決まってる。波の絵で終わる。

良いなぁ…沁みた。

野田高悟、脚本。
小津安二郎、脚本・監督
Monisan

Monisan