マグ兄

晩春のマグ兄のレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.8
嫁入りを題材としたもの。
原節子、笠智衆、杉村春子といったおなじみの役者が揃い、流石の演技。原節子は今作で初めて小津と組んだ。
男と女の社会的役割が決まっていた時代、父としての嫁入りしてない娘に対する心配と娘のやもめの父に対する心配という家庭内の葛藤を描いた作品。京都旅行での笠智衆の言葉は、20代の私には響くものがあった。原節子の花嫁姿は清らかで、上品だなとしみじみ。また、おじさんへの不潔発言や能のときの紀子と父の対象的な様子といった伏線がよく機能していた。
映像としては、親娘の顔を中心とした反復ショット(強調されてるため観衆の印象に残る)が、仲睦まじい前半から、紀子が拒絶した後半へと変化が如実に表現され、流石の対だと思った。陰の使い方も、心情とうまくリンクしていた。ローアングルは映像に臨場感を加えているように感じた。
後々知ったことだが、龍安寺の石庭はやもめの父と叔父を暗に表しているのだと。
感動したし、日本人を語る上で、見なければいけない作品だと思う。
マグ兄

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